「とても簡単な部品」になぜ電気が蓄えられるのか?…電気回路に不可欠の電子部品 「コンデンサー」の謎を解く!

AI要約

電磁気学編から、電気容量について解説されている。コンデンサーを使うことで回路内の電圧を下げることができるしくみが説明されている。

コンデンサーは電池と同じ電流を流すため、見た目だけでは電池かコンデンサーか区別することはできないというクイズも紹介されている。

電気抵抗とコンデンサーの違いやコンデンサーが電気を蓄えるしくみについて、具体的な説明がされている。

「とても簡単な部品」になぜ電気が蓄えられるのか?…電気回路に不可欠の電子部品 「コンデンサー」の謎を解く!

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本記事では電磁気学編から、電気容量についてくわしくみていきます。

※本記事は田口善弘『学び直し高校物理 挫折者のための超入門』から抜粋・編集したものです。

電位に差がある2点間(電圧)を電気抵抗でつなぐと、オームの法則(電圧=電流×電気抵抗)で決まる大きさの電流が流れる。じゃあ、回路内の2点間の電圧が低下するのは抵抗に電流が流れたときだけだろうか。

実はそうではなく、電気をため、必要に応じて放出する電子部品コンデンサー(キャパシタと呼ばれることもある)を使っても回路内の2点間の電圧は下げることができる。コンデンサーというと、学生時代に電子工作で作ったラジオに多数使われていたことを思い出す人も多いだろう。

コンデンサーは、図のように、絶縁体を2枚の金属製の板(極板という)で挟んだ簡単な構造になっている。こんな簡単な部品になぜ電気が蓄えられるのだろうか。

電場の項(『学び直し高校物理』Chapter10)でも、一部説明しているが、おさらいの意味で、コンデンサーに電気が蓄えられるしくみを図解しておこう(次の図)。

電池をつなぐ前のコンデンサーの極板は、+と-が等量なので、上の極板も下の極板もまだ帯電していない。しかし電池に接続すると、上の極板にある自由電子が下の極板に移動することで、徐々に上の極板には+が、下の極板には-が帯電していく。最終的に上の極板に+Qクーロン、下の極板に-Qクーロンが帯電すると、コンデンサーにQクーロンが蓄えられたということになる。

電池を外しても、蓄えられた電気はすぐには消えない。+に帯電した極板と-に帯電した極板が互いに引きつけあうので、電荷が蓄えられた状態が維持されるのだ。

唐突だが、ここでクイズをひとつ。電気抵抗にコンデンサーをつないだ回路1と電気抵抗に電池をつないだ回路2を考えてみよう(下の図)。

当然のことながら、どちらも電流が流れる。ここで、もし、コンデンサーと電池の部分を覆って隠してしまったら、どっちが電池でどっちがコンデンサーか区別することはできるだろうか。

正解は「区別する方法はない」である。電気抵抗に電池とコンデンサーをつなぐと、まったく同じ電流が流れるので、コンデンサーと電池の部分を覆って隠してしまうと両者を区別することは不可能なのだ。