NASAが2030年で運用を終えるISSの軌道離脱用宇宙機開発でスペースXと契約

AI要約

アメリカ航空宇宙局(NASA)は2030年に運用を終える国際宇宙ステーション(ISS)を大気圏へ再突入させるための宇宙機「U.S. Deorbit Vehicle(米国軌道離脱機)」の開発を担当する企業としてSpaceXを選定。

ISSは2024年で建設開始から26年、様々な実験が行われる中、経年劣化の影響が現れており、運用は2030年に終了予定。

ISSが地球低軌道に残されるとスペースデブリとの衝突リスクがあるため、再突入を行うことが必要。

NASAが2030年で運用を終えるISSの軌道離脱用宇宙機開発でスペースXと契約

アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年6月26日付で、2030年に運用を終える国際宇宙ステーション(ISS)を大気圏へ再突入させるための宇宙機「U.S. Deorbit Vehicle(米国軌道離脱機)」の開発を担当する企業としてアメリカの民間企業SpaceX(スペースX)を選定したことを発表しました。【最終更新:2024年6月27日11時台】

1998年11月に最初の構成要素が打ち上げられたISSは、2024年で建設開始から26年、宇宙飛行士の長期滞在開始から24年を迎えます。NASAをはじめ、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)、ヨーロッパの欧州宇宙機関(ESA)、カナダのカナダ宇宙庁(CSA)、ロシアのロスコスモス(Roscosmos)が運用に関わるISSでは、地球・宇宙科学、生物学、人類生物学、物理科学、地上では行えない技術実証といったさまざまな実験が宇宙飛行士によって行われてきました。

しかし、2011年に主な構成要素の組み立てが完了したISSでは、与圧モジュールからの空気漏れや太陽電池の発電能力低下といった経年劣化の影響がすでに現れています。2021年から2023年にかけて新型太陽電池アレイの増設が行われるなど対策は講じられているものの、ISSの運用は2030年に終了する予定です。

ISSが周回している高度約400kmの地球低軌道では希薄な大気によるごくわずかな抵抗を受けるので、ISSは放置しておいてもいずれ大気圏に再突入します。ですが、それではいつどこで再突入するのかがわかりませんし、トラスのように高密度で耐熱性がある構成要素の一部は地表へ到達して被害をもたらす可能性があります。また、地球低軌道に残されている間はスペースデブリ(宇宙ごみ)と衝突するリスクがあり、他の宇宙船や人工衛星にとって危険なデブリがISSから生み出されてしまう可能性も否定できません。