「カメムシ」大発生で梅、桃、ビワに黄信号! 「10年ぶりの注意報」にプロが教える意外な駆除方法とは

AI要約

梅干しづくりのシーズンがやってきた。しかし、梅不作が続く中、カメムシの大量発生が梅や他の果樹に被害をもたらしている。

和歌山県では梅の生産量の約6割を占める南高梅や他の品種も被害を受けており、実が刺されることで生育に支障が生じている。

カメムシの大量発生の原因は、前年のスギやヒノキなどの球果の豊作で産卵率が高まり、新しい成虫が出てきてしまう可能性がある。

「カメムシ」大発生で梅、桃、ビワに黄信号! 「10年ぶりの注意報」にプロが教える意外な駆除方法とは

 梅干しづくりのシーズンがやってきた。ところが、梅が近年まれにみる不作なのだ。原因の一つとされるのが、あのくさーい虫、カメムシだ。昨年に続いて今年も大発生、ストローのような口で果実が刺される被害が全国で続出。桃もビワもピンチだ。

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■南高梅もビワも桃も被害

 全国の梅の生産量の約6割を占める和歌山県では出荷前の4月下旬から5月にかけてカメムシが大量発生した。

「特に小梅は果肉が薄いため、カメムシの口針が種まで届きやすい。そうすると、梅の実が落ちてしまう」と、和歌山県うめ研究所の裏垣翔野研究員は残念そうに話す。

 果肉が厚い特産品「南高梅」も大きな被害を受けた。刺された部分がかさぶたのような樹脂で覆われる「ヤニ果」が続出したのだ。

「ヤニ果になってしまうと、商品価値が下がり、出荷できない梅も出てきます」

 千葉県では収穫の最盛期を迎えている特産の「ビワ」に被害が出ている。

「5月10日に『カメムシ注意報』の第1報を出しました。平成26(2014)年以来、10年ぶりです」と、千葉県農林総合研究センター病害虫防除課の矢内浩二課長は説明する。

 カメムシに果汁を吸われたビワは表面が黒ずんだり、でこぼこになったりし、内部はスポンジ状に変質してしまう。生育中の桃も被害を受けている。

■大量発生の原因は豊富なえさ

 日本に生息するカメムシは1300種類以上といわれる。このうち、大量発生しているのは、緑色のツヤアオカメムシや茶色いクサギカメムシ、そして両方の色が混じったチャバネアオカメムシなどで、街なかで見かけることも多い種類だ。体長10~18ミリほど。

 千葉県でカメムシが急激に増え始めたのは、4月中旬。クサギカメムシは平年の3倍、チャバネアオカメムシは約7倍にもなった(4月の月間トラップ誘殺数から)。農林水産省によると、全国各地に同様の状況が広がっている。

 カメムシが大量発生した直接の原因は、豊富なえさだという。

「カメムシはスギやヒノキに産卵して、その球果を食べて育ちます。昨年夏はスギ、ヒノキの球果が豊作で大量のカメムシが発生した。それが越冬して、また出てきたのです」(矢内課長)

 大量のカメムシがこれから産卵し、もう7月には「新成虫が出てきます」(同)。そして、また増える可能性があるという。