使いたくなければ、「ノー」と言えばいい…ついに、「Apple Intelligence」で露わになったアップル独自の戦略
アップルはWWDCでAI戦略を発表、プライバシー重視を強調。
今年のWWDCはOS群の発表よりも「Apple Intelligence」の技術に焦点があり、デバイス価値を変える大きな発表が行われた。
Apple Intelligenceによるパーソナルインテリジェンスは、スマートフォンをよりパーソナルなデバイスに変える可能性がある。
アップルは現地時間の6月10日、米国・カリフォルニア州の本社で年次開発者会議「WWDC」を開催した。
そこで打ち出されたのは、かねて噂されていたとおり、同社のAI戦略だ。その内容は確かに、事前に予測されていたものに「近く」見える。そして、ライバルでもあるはずの、「ChatGPT」を手がけるOpenAIとの「乗り合い」にも見えるものだ。
しかし、アップルはかなり「徹底」している。
ある意味で、アップルが以前からつねに強調してきた「プライバシー重視」というあり方が、他社以上に強く反映された発表だったといえるだろう。
それはどういうことなのか? 現地での取材から紐解いてみよう。
アップルは、「WWDC」を毎年6月に開催する。
WWDCは、同社の製品群で使われる各種OSの最新バージョンがお披露目され、その上で動作するアプリケーションやサービスを開発者が作りやすいよう、積極的な情報共有がおこなわれる場だ。
今年2月にアメリカで発売された「空間コンピューティングデバイス」である「Apple Vision Pro」の日本発売がアナウンスされ、MacやiPhone、iPadなどに搭載されるOS群が続々と発表されていく。
いずれも今秋に公開され、各デバイスがより便利になっていくことが期待される。
しかし、今年のWWDCに関しては、それらOS群の発表は、ある意味で“前座”にすぎなかった。各種の新機能の上に、デバイスの価値をさらに変えてしまう大きな発表が控えていたからだ。
それが「Apple Intelligence」とよばれるAIを使った新しい技術だ。そして、アップルのティム・クックCEOは、Apple Intelligenceを「パーソナルインテリジェンス」と説明した。
スマートフォンは周知のとおり、きわめてパーソナルなデバイスだ。
だが、その内部には現状、「インテリジェントさ」はあまり含まれていない。音声で機能を呼び出す「音声アシスタント」は備わっているが、極論すれば、アイコンをタップする代わりに声で操作しているようなイメージに近い。
しかし、今回発表されたApple Intelligenceのイメージは、それらとはかなり異なる。