ポケベル(9月22日)

AI要約

ポケベルが登場し、数字の語呂合わせで伝える暗号が流行した。しかし、今ではポケベルがテロ攻撃に悪用され、多くの犠牲者が出ている。

暗号化された数字のメッセージはかつては愛情を伝える手段だったが、今では無差別な攻撃の手段となってしまった。

世界中の人々は無益な争いをなくし、平和を願っているが、その願いが通信機器を超えて届くことは難しい。

 「11014(あいたいよ)」「33414(さみしいよ)」「114106(あいしてる)」…。数字の語呂合わせで伝える“暗号”に、思いのたけがにじみ出ていた。ポケベル世代にとっては懐かしい▼ポケベルは1968(昭和43)年に登場し、東京23区から瞬く間に世間に広がった。県内は1976年のサービス開始から、わずか1年半で5千台を突破したという。数字でメッセージが送れるようになると、若者を中心にブームは拡大した▼一世を風靡[ふうび]した通信ツールが今、異国の人々を恐怖に陥れている。中東のレバノン。イスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員らが携帯するポケベルが相次いで爆発し、多数の死傷者を出した。爆薬が仕掛けられ、遠隔操作で起爆されたとみられている。専門家は「爆弾とサイバーを掛け合わせた前例のない攻撃だ」と指摘する。攻撃と報復が繰り返される中で、罪なき人々を無差別に傷つける「兵器」に利用されたとは、何とも悲しい▼数字に込められた暗号はかつて、互いの心をつなぐ絆だった。無益な争いの連鎖をなくしたい―と願う世界中のメッセージは、一体どんな通信機器があれば惨劇の発信源に届くのか。<2024・9・22>