「琵琶湖の水」への感謝のお値段は?京都市と滋賀県、金額交渉スタート 過去には対立も

AI要約

京都市が滋賀県に支払っている「琵琶湖疏水感謝金」の契約期間が2024年で10年間の期限切れを迎える。市と県との交渉が始まり、金額の決定には物価上昇を考慮するが、明確な計算式はない。

感謝金の根拠は、滋賀県が琵琶湖の水源保全整備に100億円を投入し、京都市民も恩恵を受けていることが挙げられる。過去には金額を巡って市と県が対立したこともあり、話し合いで決定される。

財源は市上下水道局の使用料収入から捻出されており、市と県ともに懐事情が厳しい。節水対策などで水使用量は減少しているが、管路更新費の増加など課題も存在する。

「琵琶湖の水」への感謝のお値段は?京都市と滋賀県、金額交渉スタート 過去には対立も

 琵琶湖の水を使用することへの「お礼」として、京都市が滋賀県に毎年支払っている「琵琶湖疏水感謝金」が2024年度末で10年間の契約期間切れを迎える。現在は年2億3千万円を結んでおり、次期契約に向け、市と県との交渉が始まった。過去には金額を巡って協議が難航したこともあり、来年度以降、京都市民の感謝の気持ちはいくらになるのか。

 市は水道用水のほぼ全量を琵琶湖に頼っており、琵琶湖疏水を通じた1年間の取水量は1億8600万立方メートル(22年度)に及ぶ。感謝金は1914(大正3)年に「使用料」として始まって以降、支払い続け、現在の契約期間は2015~24年度となっている。契約に明確な法的根拠はないが、滋賀県が琵琶湖の水源の保全整備に毎年約100億円を投じ、京都市民もメリットを受けていることも「感謝金」の一因となっている。

 金額は物価上昇を踏まえて決定されるが、固まった計算式があるわけではなく、「きりのいい数字」を基本に話し合いで決めている。05~14年度の契約時に据え置きだった以外は全て増額改定で、今期の年2億3千万円も前期比で1千万円増になっている。

 しかし、過去には金額を巡って市と県が対立したこともあった。95年度からの契約時には大幅アップを求める県と、地下鉄東西線建設費の膨張で財政難に陥っていた市との間で話がまとまらず、結果4千万円増で妥結したが、96年2月まで合意がずれこんだ。

 財源は市上下水道局の使用料収入などから捻出するが、懐事情は厳しい。節水機器の普及などで水使用量は減少傾向にある一方、管路の更新費は今後増大する見込みで「一円たりとも無駄にはできない」(同局)。一方、滋賀県も琵琶湖保全に絡む工事費や人件費は高騰しており、こういった事情も協議では情報共有されるという。

 市が来年度予算案を提案する2月市議会までに交渉をまとめる方針で、同局は「感謝金自体は継続する前提で、お互いの意見を尊重して協議を進めたい」とし、滋賀県は「琵琶湖保全の取り組みについては京都市にしっかり伝えたい」としている。