「わが街の音楽祭」継承へ OMF、市民が模索

AI要約

小澤征爾さんの死去後、松本市で開催された国際音楽祭セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)が市民の支援によって成功裏に終了。

ボランティア組織・OMFコンチェルトは活動日のキャンセルが多く、新しい会員に役割の重さを理解してもらう取り組みを開始。

松本市では楽都・まつもとライブが通年で開催され、市民が音楽を楽しむ街づくりに取り組んでいる。

「わが街の音楽祭」継承へ OMF、市民が模索

 総監督の小澤征爾さんが死去後、長野県松本市で初めて開催され、4日に閉幕した国際音楽祭セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)は、ボランティアら多くの市民が「わが街の音楽祭」として支えた。市民活動の原動力になってきた、気さくな人柄の小澤さんというかけがえのない存在はいなくなったが、これからも地元で親しまれる祭典であり続けるため、OMF実行委員会、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)、市民がそれぞれに模索している。

ボランティア組織・OMFコンチェルトでは8月9日からの開催期間中、活動日をキャンセルする人が多かった。代表の仁田晃司さん(64)=安曇野市豊科=によると、今年は信州・まつもと大歌舞伎があり、活動日の事前調査を1カ月早くした影響があるという。「小澤さんが死去後の祭典だからということはない」というが、ボランティア登録後、日が浅い会員のキャンセルが多かった。「祭りを支える一人だと役割の重さを実感してほしい」と願う。

 活動の面白さを感じてもらう取り組みを始めた。都内のサントリーホールで会場案内を業務とする企業の社員に、OMFでボランティアの会場案内を見てもらった。来年の研修講師を依頼し「視点を変えると面白い仕事ですよ」という視点で語ってもらう予定だ。

 音楽祭の来訪者を歓迎する目的で始まり、今では通年で中心街で開かれている「楽都・まつもとライブ」は市民が運営を担う。チームリーダーの宮嶋弘樹さん(43)=松本市寿北7=は「真の楽都」を目指し、ライブに出演するアマチュア音楽家を店に派遣し生の演奏を気軽に聞けるようにする構想も持っていて「音楽がいつも聞こえてくる街にしたい」と語る。ただ、十数人のチームではライブを回すので精いっぱいで、運営に携わる人を募集中だ。

 SKOの矢部達哉さん(56)は「OMFは市民の皆さんと発展させていかないと衰退してしまう」と危機感を抱く。OMF実行委員長の臥雲義尚市長はSKOに背負わせるつもりはないとし「プログラムのあり方やボランティアとの向き合い方、トータルで考えたい」と話している。