地域の「見守り愛」広げて 9月は認知症月間【宇部】

AI要約

認知症基本法により認知症月間と制定されている9月、宇部市内の認知症有病者が増加しており、行方不明が深刻な問題となっている。

市は「地域であんぜん見守り愛ネット」などの施策を展開し、行方不明の高齢者を早期発見・安全確保する取り組みを行っている。

また、見守りメールやGPS機器の助成制度なども活用できるため、市民は積極的に利用するよう呼びかけている。

 21日の世界アルツハイマーデーにちなみ、9月は認知症基本法により認知症月間と制定されている。宇部市内の認知症有病者は、来年には1万人を突破すると推計される。うち5000人前後は自宅で生活するとみられ、高齢者の一人歩きや行方不明が身近で深刻な問題となっている。

 

 市はそうした不安を解消するため、さまざまな施策に取り組んでいる。その一つが、認知症の高齢者が所在不明となったとき、地域住民や警察が連携して素早い発見をサポートする「地域であんぜん見守り愛ネット」だ。

 

 有病者の家族らは見守り愛ネット、見守りに協力したい人は認知症高齢者見守りメールに事前登録。行方不明の届け出を受けた警察が家族の同意を得た上で市に情報を提供し、市を通して見守りメール登録者に行方不明者の年齢や特徴などがメールやLINEで通知される仕組み。無料で登録できる。

 

 8月末現在の見守り愛ネット登録者数は325人で、行方不明になる可能性がある有病者の10分の1にも達していない。見守りメール登録者数は約8000人に上る。

 

 県警によると、昨年の県内の行方不明者受理件数は931人で、認知症またはその疑いがある人は171人。市内では受理数128人のうち、認知症またはその疑いがある人は30人だった。

 

 市が行方不明の有病者の情報提供を求めた見守りメールの発信数は、昨年度は7件、今年度は8月末現在で一件もないという。

 

 見守り愛ネット登録者に無料で配布される「宇部市見守りシール」は5枚セットですべてに2次元コードが付いている。外出時の持ち物に貼り付けておくと、自分の居場所が分からなくなった有病者に気付いた通行人などがスマートフォンで2次元コードを読み取り、位置情報を家族らに送信できる。送信者の個人情報は送信されない。

 

 行方不明の可能性がある有病者に持たせるGPS(全地球測位システム)機器の購入費を2万円を上限に助成する制度もある。

 

 市高齢福祉課の兼重仁彦主任は「こうした取り組みを一人でも多くの市民に利用してもらい、行方不明の高齢者の早期安全確保に役立ててほしい」と話している。

 

 登録や制度についての問い合わせは同課(電話34-8303)へ。