聴覚障害の吉田さんが故郷中津市に食堂喫茶オープン レトロテーマ「日常に安らぎをプラスアルファできる場所に」

AI要約

大分県中津市出身の聴覚障害のある吉田茂樹さんと妻恭子さんが「食堂喫茶Alpha」をオープン。テーマは“レトロ”で、子どももお年寄りも喜ぶメニューを提供している。

吉田さんは飲食業を志し、料理の専門学校で学んだ後、キッチンカーを開業。アルファは実家の元倉庫を改修してオープンした。

吉田さんは多くの人を元気にするお店を目指し、共生社会の縮図のような場所にしたいと意気込んでいる。

聴覚障害の吉田さんが故郷中津市に食堂喫茶オープン レトロテーマ「日常に安らぎをプラスアルファできる場所に」

 「ここで一息ついて、豊かな時間を過ごしてほしい」―。大分県中津市出身で聴覚障害のある吉田茂樹さん(38)が、妻恭子さん(30)=福岡県大木町出身=と同市上宮永に「食堂喫茶Alpha(アルファ)」をオープンした。テーマは“レトロ”。子どももお年寄りも喜ぶメニューをそろえ、懐かしく、ほっとする空間をつくっている。

 吉田さんは生まれつき耳が聞こえない。大分県ろう学校を卒業後、中部地方の自動車製造会社で8年間働いた。

 帰郷して勤めた福祉施設の高齢利用者からかけられた「夢を持って活動しなさいね」という言葉に背中を押されて憧れだった飲食業を志し、福岡市の料理の専門学校へ。和・洋・中華料理、製菓、パン製造、経営などを2年間、みっちり学んだ。

 現場修業と客のニーズ調査を目的に2018年、専門学校で同期だった恭子さんとキッチンカー(移動販売車)を開業。福岡、中津両市を拠点に九州各地に出向き、こだわりのハンバーガーとコーヒーを提供してきた。

 アルファの店舗は吉田さんの実家の元倉庫。大工仕事が得意で、父親の協力も得て約2年をかけ、コツコツと改修し開店した。

 店名は「日常生活に安らぎをプラスアルファできるような場所に」と名付けた。メニューにはナポリタン、クリームソーダ、オレンジアイスコーヒー、クロックムッシュなどが並ぶ。接客は主に恭子さんが担当するが吉田さんも積極的に店に立つ。

 吉田さんは「おいしいもので多くの人を元気にし、ここまで応援してくれた中津の人に恩返ししたい。障害の有無にかかわらず自然に集う、共生社会の縮図のような場所になれば」と張り切っている。

<メモ>

 営業は正午から午後6時(金曜は同8時)まで。月、火曜定休。店舗情報、問い合わせはインスタグラムで。ハンバーガーのキッチンカーも不定期で営業している。