海峡守った秘密基地 小泊防備衛所(中泊町)

AI要約

真夏の日本海上空から、ドローンのカメラが、灯台の隣に眠る廃虚を捉えた。旧日本海軍の秘密基地だ。

津軽半島の先端に近い権現崎=青森県中泊町小泊地区。津軽海峡に侵入を図る敵国の潜水艦を警戒していた。日本海と太平洋を結ぶ要路は国防上の最重要エリアであったし、それは現在も変わりはしない。

朽ちた要塞の名称は大湊警備府小泊防備衛所。太平洋戦争が始まる前年の1940年9月に設置された。小泊地区の集落からは見えない地点にあり、戦争中は厳重な秘匿事項だった。地元でその存在を知る人はほとんどいなかったという。

海峡守った秘密基地 小泊防備衛所(中泊町)

 真夏の日本海上空から、ドローンのカメラが、灯台の隣に眠る廃虚を捉えた。旧日本海軍の秘密基地だ。

 津軽半島の先端に近い権現崎=青森県中泊町小泊地区。津軽海峡に侵入を図る敵国の潜水艦を警戒していた。日本海と太平洋を結ぶ要路は国防上の最重要エリアであったし、それは現在も変わりはしない。

 朽ちた要塞(ようさい)の名称は大湊警備府小泊防備衛所。太平洋戦争が始まる前年の1940年9月に設置された。小泊地区の集落からは見えない地点にあり、戦争中は厳重な秘匿事項だった。地元でその存在を知る人はほとんどいなかったという。

 終戦から間もない45年11月6日、米軍が施設を爆破したが、コンクリート製の構造物は残った。51年になって、海上保安庁が隣接地に小泊岬北灯台を設置した。

 ◇防備衛所 旧日本海軍が重要港湾や海峡などに敵の潜水艦が侵入するのを阻止することを目的に、1940年ごろから全国に設置した陸上の拠点。長瀬崎(長崎県)、伊良湖(愛知県)など各地に置かれ、県内では小泊(現中泊町)と桑畑(風間浦村)、鉾崎(現外ケ浜町)、平舘(同)にあった。大湊警備府小泊防備衛所は、40年9月に設置された。戦時中、アメリカやソ連の潜水艦が津軽海峡に侵入しないように警備していた。戦時中はふもとに防備衛所の兵舎もあったが、49、50年ごろに解体され、小泊中学校の建設に使われた。