中山間地、遠い復旧 県内大雨から1ヵ月

AI要約

鮭川村では、中山間地特有の土砂崩れと水害が同時発生し、大規模な被害をもたらしている。復旧には数年、数千万円の費用が必要であり、被災者は生活再建に苦悩している。

佐藤さんは、田んぼや農地への被害に加えてシイタケ生産の売り物にもならないほどの影響を受け、再建への道を模索している。しかし、復旧に必要な資金や時間の問題が大きな障害となっている。

地元の農家は自力では限界を感じ、国や県からの補助を必要としている。被災地の復興は困難を伴いながらも、地域の絆や助け合いの精神が生まれつつある。

中山間地、遠い復旧 県内大雨から1ヵ月

 庄内、最上を襲った記録的な大雨から25日で1カ月。住宅や農地へのダメージは甚大で、避難は長期化し、生活再建の道も見通せない。一方、住民が復興に向け歩み出す動きも。中山間地ならではの被害にあえぐ鮭川村曲川地区、地域に明かりをともそうとする酒田市大沢地区。被災地2カ所の今にフォーカスした。

【鮭川・曲川地区】時間も費用もかかる

 鮭川村では、中山間地特有の土砂崩れと水害が同時発生した。農地への流入、河川の護岸崩落が至る所で見られる。農道が土砂で埋まり、今も状況把握に至らない場所がある。復旧は手つかずの状況だ。

 大部分が山間部の曲川地区。佐藤順一さん(77)の約1ヘクタールの田んぼは、のり面が幅約50メートルにわたって崩落し、水路も破損。一部は水田の機能を失った。地区の田畑は圃場として整備されたものではなく、傾斜地や川沿いにあるものが多い。曲川が氾濫して畑が水没した上、土砂流入も重なり壊滅的被害につながった。

 現地調査に来た県の担当者から「復旧には早くて3年かかる」と話を聞きぼうぜんとした。追い打ちをかけるように、落雷による空調設備の故障、今月17日まで続いた断水のため、シイタケ約250キロが売り物にならなくなった。佐藤さんは「今やれることを」と数十万円かけて空調設備を交換し、再び生産にこぎ着けた。

 一方、農地の完全な復旧には、桁が二つ違う数千万円が必要だ。佐藤さんは「お金をかけて復旧しても、元通りになる頃に自分が農業を続けているか分からない」と頭を抱える。

 阿部美知男さん(73)は、所有する山の高さ10メートル、幅20~30メートルほどが崩れ、他人の農地に土砂が流れ込んでしまった。立ち木が多数交ざった土砂は、それぞれ別に撤去する必要があるため、その分時間と費用がかかる。

 「被害を受けた農家さんのためにも補償をしたいが、規模や金額を考えると自力では限界がある。国や県からの補助がほしい」と嘆いた。