能登の酒「谷泉」を再現 平戸の福田酒造&森酒造場 被災地蔵元らと共同醸造

AI要約

能登半島地震で被災した石川県北部の酒蔵を支援するプロジェクトに、長崎県平戸市の福田酒造と森酒造場が参加。被災した蔵のオリジナル酒「谷泉」を再現し、コラボレーション酒も製造。

プロジェクト「能登の酒を止めるな!」は各地の酒蔵を借りて共同醸造を行い、クラウドファンディングで資金を募り、酒の販売利益を被災蔵の復興に活用。福田酒造と森酒造場が異なる期間で参加。

鶴野酒造店の主導で「谷泉」の醸造が行われ、福田酒造と森酒造場が共同制作したコラボ酒も製造され、予定価格は4400円の2本セット。

能登の酒「谷泉」を再現 平戸の福田酒造&森酒造場 被災地蔵元らと共同醸造

 能登半島地震で被災した石川県北部の酒蔵を支援するプロジェクトに、長崎県平戸市の福田酒造(志々伎町)と森酒造場(新町)が参加した。建物が全壊し酒造りが困難になった同県能登町の鶴野酒造店と共同醸造を行い、それぞれ同店オリジナルの酒「谷泉(たにいずみ)」を再現。加えて、両社とも同店とコラボレーションした酒を完成させた。

 プロジェクトの名称は「能登の酒を止めるな!」。同県白山市の吉田酒造店や酒の全国イベントなどを運営する会社「camo(かも)」(東京都)が中心となり企画。被災した酒蔵数社の蔵元(くらもと)や杜氏(とうじ)が酒米やこうじ、レシピを持参し全国各地の蔵を借りて現地の杜氏らと共同醸造を行った。

 資金はクラウドファンディングで募り、完成した酒は返礼品にするほか、酒蔵の取引先で販売。売り上げは被災した蔵の復興に役立てる仕組み。1月にスタートし、今月までに2度実施された。

 福田酒造は第1弾(1~6月)、森酒造場は第2弾(6~8月)に参加。2社とも「camo」が企画したイベントを通じ鶴野酒造店と交流があったという。福田酒造の福田竜也取締役(41)は「酒造りをする同志として力を貸したい」、森酒造場の5代目蔵元、森雄太郎専務(34)は「復興までの間に『谷泉』のブランドが忘れられてはいけないと思った」と、支援に協力した理由を話す。

 「谷泉」の醸造は鶴野酒造店の14代目蔵元、鶴野晋太郎さん(35)が両社を訪れ、仕込みや酒を搾る作業などに立ち会った。コラボ酒は、両社のブランド酒に同店の原料や技術を取り入れそれぞれ醸造、従来の個性を生かしつつ新しい味の酒に仕上がった。

 福田取締役は「鶴野さんの蔵は漁師町にあり、うちの蔵と環境が似ていると感じた。故郷にいる感覚で酒造りできたのでは」と話す。共同醸造に初めて挑戦した森専務は「酒の発酵の進み具合など試行錯誤しながら取り組んだ。貴重な体験で勉強になった」と述べた。

 鶴野さんは電話取材に対し「両社の支援に本当に感謝している。おかげで洗練された味わいの『谷泉』ができた」と喜びを語った。

 完成した酒は2本セットで4400円。第1弾の商品が6月販売。第2弾は9月発売の予定。