市役所のEV急速充電器に「ただ乗り」続出 税金無駄遣い トラブル・苦情相次ぎ撤去へ

AI要約

京都府八幡市の無料電気自動車急速充電器が撤去される。多くの利用者は市外からで、電気代は市の負担になっていた。トラブルや苦情もあり、業者が点検不可能な状況になったため、撤去決定。

市外ナンバーの車も多く利用しており、市民から苦情も寄せられていた。市は無料での利用を見直し、撤去の方針を決定した。

現在は充電器の使用を禁止し、撤去を検討中。有料化も検討したが、市外ドライバーが多いことから不採用。市総務課は撤去理由を説明し、市民の理解を求めている。

市役所のEV急速充電器に「ただ乗り」続出 税金無駄遣い トラブル・苦情相次ぎ撤去へ

 京都府八幡市役所の駐車場にあり、無料で使えた電気自動車の急速充電器が姿を消す。年間6千回以上利用された「全国有数」のスポットだが、多くは市外のドライバー。毎年100万円以上の電気代は市の負担で、充電待ちの車に来庁者から苦情も寄せられていた。市外在住者が市の税金に「ただ乗り」している格好で、設置者の市は撤去に踏み切ることにした。

 各地に設置されている電気自動車の充電器は普通と急速の2種類があり、無料の急速は数が少ない。充電スポットの検索サイトによると、京都府内に計約400基あるうち、無料の急速は10基程度にとどまる。

 

八幡市は2013年度に、電気自動車普及などを目的に、補助金を活用して約470万円をかけて1基を設置した。「無料・急速」で人気を集め、充電回数は21年度に3571回、22年度は4867回、23年度は6390回にのぼった。市の担当者は「充電器の業者からは『全国でもこんなに使われている充電器はない』と聞いている」と話す。

 電気代を含めた維持費はそれぞれ156万円、192万円、166万円で、全額を市が負担。駐車場に充電を待つ車が多数停車し、来庁者が車を止められないこともあった。市民から苦情がたびたび寄せられた。

 さらに、利用者の大半は八幡市民ではないようだった。充電時のトラブル対応は市職員が担うこともあり、担当者は「府外ナンバーの車も多かった。体感では半分以上が市外のドライバーだった」と話す。

 苦情や市外からの利用が増える中、5月末に充電器のプラグが車から抜けなくなるトラブルが複数回発生した。業者が点検したが原因は分からず、耐用年数を2年過ぎていたため、修理せずに撤去することにした。

 現在は充電器の使用を禁止し、早ければ本年度中に撤去して駐車スペースにする方針。有料化も検討したが、市外の利用者が多い現状では市民の利益につながりにくいと判断して見送った。

 市総務課は「設置当初は電気自動車の充電器が少ない時期でもあった。今は普及が進み、当初の目的は一定果たしたと考えている」と話す。「税金の使途としてもふさわしくなく、庁舎管理の観点からも必要性が低い施設になっていた。撤去への理解をお願いしたい」と説明する。

 市内では、石清水八幡宮や「イズミヤ八幡店」などで充電器が利用できる。