新工場長は小掠さん「黒字化して農家に還元を」 三重・大台町の宮川物産

AI要約

第三セクターの㈱宮川物産の新工場長に就任した小掠翔平さんの紹介。

社内の経営不振と人事の変動について。

小掠さんの経歴と今後のビジョンについて。

新工場長は小掠さん「黒字化して農家に還元を」 三重・大台町の宮川物産

 三重県多気郡大台町弥起井に本社工場を置く第三セクターの㈱宮川物産(大森正信代表取締役社長=町長)の新工場長に19日、前営業部主任の小掠翔平さん(35)が就任した。午前11時から町役場の町長室で辞令交付式があった。新しい本社工場への移転以来、4年連続で赤字経営が続いていることから、6月の株主総会で大西健二・前社長(73)=同町商工会会長=が辞任したのに続き、田村和也・前工場長(56)が辞任したため、後任に小掠さんが着いた。

 同社は町と多気郡農業協同組合(JA多気郡)、大台町商工会、宮川森林組合、宮川上流漁業協同組合が出資して1994(平成6)年に設立。名物の「きゃらぶき」やアユの甘露煮で知られ、最近は新たな特産物の「奥伊勢ゆず」を加工したサイダーなども売り出している。

 町が所有する本社工場は2020(令和2)年11月に完成し、同町本田木屋の旧工場から移転した。それまでは黒字経営だったが、移転後から赤字が続いており、経営不振を背景に、社長と工場長が相次いで辞任した格好。町では「新しい社屋の維持費などがかさみ、大きな赤字ではないが、この4年、黒字収支になったことはない」と説明する。

 6月24日に奥伊勢フォレストピアで開かれた株主総会では、大西さんが社長を辞任し、後任に大森町長が着いた他、もともと取締役だった中野敏夫・宮川森林組合代表理事組合長(77)が代表取締役副社長に就任。町に対する補助金申請や委託契約の際には、町長を兼ねる大森社長に代わって中野副社長が執行する体制を整えた。

 田村さんもその時点で工場長辞任を申し出ていたが、次の人事が決まるまで継続し、今回の辞令交付に至った。田村さんは社員として同社に残る。

 小掠さんは「工場長候補」として22年6月に入社。松阪市出身、四日市市育ちで、県立四日市工業高校機械科から愛知工業大学工学部に進み、新卒で桑名市の自動車用設備メーカー・扶桑工機㈱に入社、設計業務に携わり、㈱デンソー本社へも出向していた。父方の100歳の祖父が大台町清滝におり、「自分の人生の最期はルーツのある大台町で迎えたい。定年になってからでなく、まだ若いうちに大台町に移住したい」と畑違いの宮川物産への転職を決意したという。

 今後のビジョンについて小掠さんは「今は経営の立て直しが最優先だが、その先では原材料を供給してくださっている農家さんに還元し、農家さんにいい思いをしていただけるようにしていきたい」と意気込む。