ハラスメントから守れる役場に…風通し良い職場づくりへ若手が知恵 岐阜・岐南町、防止条例準備進む

AI要約

岐阜県羽島郡岐南町では、女性職員へのセクハラ行為を受けて辞職した町長の後任が、ハラスメント防止条例を準備している。条例制定に向けて若手職員中心のワーキングチームが活動し、町長もハラスメントを二度と繰り返さないための取り組みを強調している。

町では第三者調査委員会により、前町長にセクハラ行為が認定され、それを受けて相談体制やハラスメント条例制定部会が設立された。若手職員を中心にしたワーキングチームの意見も取り入れつつ、職場環境の改善に取り組んでいる。

条例制定や職場環境改善のために、町役場では合同会議が開かれて意見交換が行われている。職員全体でハラスメントに対する意識が高まり、透明性が高い組織作りに向けて取り組んでいる。

ハラスメントから守れる役場に…風通し良い職場づくりへ若手が知恵 岐阜・岐南町、防止条例準備進む

 女性職員へのセクハラ行為を理由に当時の町長が辞職した岐阜県羽島郡岐南町は、首長ら特別職を対象にしたハラスメント防止条例の来年4月施行に向け準備を進めている。先月26日には、若手職員中心の三つのワーキングチームが初の合同会議を開き、進ちょくを確認。4月の町長選で初当選した新町長の下、「二度と繰り返さない」との強い思いで、風通しの良い職場づくりのために知恵を出し合っている。

 「誰が首長になっても、ハラスメントを受けた個人を守れる組織でなければいけない」。町役場で行われた合同会議で、オブザーバーとして参加した後藤友紀町長は、若手職員を前に条例制定の意義を強調した。

 ハラスメント問題を巡っては、弁護士による町の第三者調査委員会が今年2月、小島英雄前町長(75)に少なくとも99件のセクハラ行為などがあったと認定。町危機管理対策本部は3月、相談体制構築部会、就業環境改善部会、ハラスメント条例制定部会の三つのチームを立ち上げた。

 4月に就任した後藤町長が「幹部職員以外にも考えてもらおう」と役場全体にメンバーを募ったところ、20、30代を中心に17人が手を挙げた。前町長からハラスメントを受けていた20代の女性職員は「上司個人に相談はできても、解決につながる具体的な体制がなかった」と感じ、参加を決意。「これから役場に入る人のためにも、システムを整え、ハラスメントを許してはいけないという雰囲気にしていきたい」と話す。

 合同会議では、各部会から外部相談窓口の設置や職員組合の発足などの意見が出た。就業環境改善部会から出席した伏見佳介さんは「前町長の問題をきっかけに、職場を変えたいという意識が職員全体で高まっている。さまざまな危機に対応できる組織になる必要がある」と話した。

 4月にワーキングチームが職員向けに実施した意見募集では、職場の問題点が多く寄せられている。聞き取り分を含む105件には「意見を言いにくい」「雰囲気が悪い」などと職場の閉そく感を指摘する声が相次ぎ、「普段の業務で、課を横断した協力体制づくりが必要」という意見もあった。前町長が恣意(しい)的な人事をしていたと批判する声もあり「透明性が高く、公平な人事評価を」といった意見も挙がったという。

 2月の第三者調査委の調査報告書では「役場内の組織が機能不全に陥っていたことも、被害の継続、二次被害を発生させる要因であった」と町の管理体制の不備を指摘し、町に条例制定や相談体制、人事制度の改善などを求めていた。今後は定期的に合同会議を開いて条例案の内容を固め、来年3月の町議会定例会への条例案提出を目指す。後藤町長は「制定自体が目的でなく、それまでの議論に時間をかけたい」と話した。