帝国海軍が子どもの戦意高揚で利用?戦艦「陸奥」美品模型展示 80年前に小学校寄贈、岐阜・海津市

AI要約

岐阜県海津市海津町萱野の市歴史民俗資料館で、戦時中の資料を集めた企画展が開催されている。

80年前に旧吉里小学校に寄贈された戦艦「陸奥」の模型が展示されており、当時の教育現場に戦争が浸透していた様子が見られる。

模型は地域住民から寄贈され、細部まで再現されている。展示は18日まで。

帝国海軍が子どもの戦意高揚で利用?戦艦「陸奥」美品模型展示 80年前に小学校寄贈、岐阜・海津市

 戦時中の資料を集めた企画展が、岐阜県海津市海津町萱野の市歴史民俗資料館で開かれている。3月末で閉校した市内の旧吉里小学校へ80年前に寄贈された戦艦「陸奥」の模型が展示され、教育現場にも戦争が浸透していた当時の様子をうかがうことができる。18日まで。

 模型は同校が吉里国民学校だった1940年当時、皇紀2600年を記念して地域に住んでいた中島義敬氏が寄贈した。全長120センチで185分の1スケール、船体は木、砲身は竹、艦橋はブリキで作られている。第2砲塔など一部の部品は欠損しているものの、救命用の浮き輪が飾られるなど細部まで再現されている。

 保管するケースの銘板から、軍港として知られる広島県呉市にあった土屋模型店の軍艦模型作家、土屋乾太郎氏の作品と思われる。

 製作された背景として、水谷容子学芸員は大正後期から志願兵が激減したことを挙げる。軍の弱体化を危惧した帝国海軍は海軍省軍事普及会を創設し、模型製作を奨励。百貨店で頒布会を開くなど、全国の学校への導入をあっせんした。水谷学芸員は「子どもたちが興味を抱く模型で、戦意高揚を図ったのだろう」と推察する。

 会場では、徴兵された際に保険金が支払われる徴兵保険証券や戦後に兵器の資材を転用して製造したランドセルなど計44点を展示している。