歩道橋一夜で消えた 富山・安野屋、巨大な橋桁宙に浮く 作業わずか1時間半

AI要約

4日午前0時、富山市安野屋町1丁目の市道をまたぐ歩道橋は撤去作業が始まり、56年間の役目を終えた。

橋桁の撤去作業は順調に進み、バチバチと音を立てながら大きな火花が散る様子が描かれた。

富山県内の歩道橋の現状や撤去の背景についても述べられている。

歩道橋一夜で消えた 富山・安野屋、巨大な橋桁宙に浮く 作業わずか1時間半

 4日午前0時、富山市安野屋町1丁目の市道をまたぐ歩道橋は照明が照らされ、多くの作業員が集まっていた。市道は2時間前から通行止めになっており、人影はほとんどない。昼間の暑さが残り、セミの鳴き声が聞こえる中、撤去作業が始まった。56年間にわたって住民の生活を支えた歩道橋は、わずか1時間半の作業でひっそりと役目を終えた。(社会部・富沢岳)

 歩道橋を移動できるようにまずクレーン車からつるされたワイヤが橋桁(はしげた)に結ばれた。撤去工事は7月中旬に始まり、階段は既になくなっている。3日未明にも作業を行っていたこともあって、作業は順調に見える。

 橋桁上にいた作業員が地上に降りると、今度は橋桁と橋脚を結ぶ部分の切断が始まった。左右の橋脚付近にはそれぞれ高所作業車が置かれ、作業員が2人1組で乗り込んだ。

  ●大きな火花散らし

 作業員が電動工具を接続部分に当てると、時々バチバチという音を立てながら、大きな火花が散る。火花に向けて散水されている霧状の水を浴びると焦げ臭い。

 午前1時半になると、火花が見えなくなった。切断作業も終盤にさしかかり、橋桁が宙に浮いていた。大きな音もなく、巨大な橋桁がゆっくりと空中を移動する。橋桁が地面に置かれた午前1時40分ごろ、周辺の民家やアパートの室内は真っ暗で、作業を見守る住民の姿は皆無だった。

 富山市道路構造保全対策課によると、歩道橋は長さ約24・5メートル、幅約1・9メートル、橋桁下の高さ約5メートルで1968(昭和43)年に設置された。主に安野屋小児童が通学に利用。2006年に芝園小との統合で閉校となり、利用者が減り、老朽化が進み、撤去が決まった。

 富山県内の歩道橋は交通事故防止のため通学路に建設されたが老朽化し、少子化による小学校の統廃合で利用者は減少しており、今後新設される予定はない。

 4日昼、歩道橋があった場所を再び訪れると、取り外された橋桁も左右の橋脚も撤去されていた。昨日まで歩道橋があったことを誰も気にしていない様子で、車や歩行者が行き交っていた。

 ★富山県内の歩道橋 昭和40年代に多く設置された歩道橋は1989(平成元)年以降、富山12、高岡、射水各3の18カ所が撤去された。県内で残っているのは27カ所で、富山17、高岡5、射水2、魚津、滑川、南砺各1となる。南砺市二日町にある市内唯一の歩道橋は今月中旬に解体される。