改元100年へ、クラファン募る 「昭和知らない世代」に向け改修

AI要約

昭和天皇記念館が2026年の改元100周年に向けて大規模改修を計画し、CFで一部費用を募集中。若い世代にもわかりやすい展示を新たに検討。

昭和天皇の生涯を伝える記念館は、老朽化が進み、改修が必要となっている。CFの目標額は2千万円で、寄付金は展示の充実に活用される予定。

様々な貴重な品物や歴史的資料を展示している昭和天皇記念館。今後の改修で展示内容がより幅広くなると期待されている。

改元100年へ、クラファン募る 「昭和知らない世代」に向け改修

 昭和への改元から100年となる2026年に向け、東京都立川市にある昭和天皇記念館が大規模改修を計画し、費用の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。改修で、昭和の時代を知らない若い世代にもわかりやすい解説などを新たに展示することも検討しているという。担当者は「若い世代に記念館の存在、昭和という時代を知ってもらう機会にしたい」と話す。

 記念館は、87年に及ぶ昭和天皇の生涯を伝えようと、全国の個人や企業、神社などから集めた寄付で05年、国営昭和記念公園内にできた。公益財団法人昭和聖徳記念財団が入館料(一般510円)などで運営してきた。

 1967年から使われた天皇専用自動車「御料車」のニッサンプリンス・ロイヤルや、宮殿での公務で使った机やペン立てなどは、宮内庁からの貸し出しを受け、実物を展示している。昭和天皇が愛用したミッキーマウスの腕時計や、側近やその遺族が記念館に寄贈した幼少期の玩具なども見ることができる。

■貴重な品展示の一方、進む老朽化

 ほかにも、終戦を告げた玉音放送のアナウンス原稿など、歴史的な資料を紹介するコーナーもある。

 ただ、開館から20年目を迎え、老朽化も進んでいる。展示しきれない貴重な写真や資料を見られるタッチパネル式のモニターなどが、数年前から相次いで故障。開館時は最新だったが、交換部品の製造が終わっていたり、修理費が高額になったりして、館内の至るところに「調整中」や「故障中」の貼り紙が目立つ。

 来館者は、開館当初は年間5万人を超えていたが、近年は1万人を割り込んでいるという。

■目標は2千万円 展示の充実はかる

 昭和が終わっておよそ35年。学芸員で副館長の梶田明宏さんは「今の展示は、昭和をよく知っている人が懐かしむようなつくりになっている」と話す。改修時には昭和天皇や昭和の時代を知らない世代向けに、時代背景などを解説する展示も新たに必要になってくるという。

 「戦争に突き進んだ反省も、その後の復興への歩みも、昭和という時代の全体がみられる施設にしたい」と梶田さんは言う。

 CFの目標額は2千万円。9月30日まで募る。

 返礼品として昭和天皇の「おことば」を解説する小冊子などを準備している。集まった資金は財団に直接寄せられた寄付と合わせ、エントランスの改修や上映する映像の更新費などに使う予定だという。

 梶田さんは「若い人たちにも、まずは昭和天皇記念館の存在を知ってもらい、賛同していただければ、ぜひ寄付をお願いしたい」と呼びかける。(詳細は募集サイト「READYFOR」で「昭和天皇記念館」と検索)(力丸祥子)