パスピーに代わる乗車券システム「モビリーデイズ」に障害者ら不安「金銭の管理難しい」

AI要約

モビリーデイズの導入に障害者やその家族が不安を感じている理由や要望が述べられている。

支援団体や利用者自身がモビリーデイズの課題を指摘し、改善を求めている様子が描かれている。

広島県内の公共交通機関が新乗車券システムへの移行を進める中、利用者の立場やニーズについて言及されている。

パスピーに代わる乗車券システム「モビリーデイズ」に障害者ら不安「金銭の管理難しい」

 広島県内の公共交通機関でカード型IC乗車券PASPY(パスピー)に代わる新乗車券システム「モビリーデイズ」の運用に対し、障害者やその家族たちが不安を強めている。慣れていた運賃の支払いやチャージの方法が変わり、当事者たちに混乱をもたらす可能性があるためで、改善を求める声を上げている。

 モビリーデイズはスマートフォンに表示したQRコードか、パスピーに代わる新しいICカードを読み取り機にかざして運賃を支払う。利用者はスマホのアプリや専用サイト、窓口で会員登録し、銀行の口座振替かクレジットカード、窓口でチャージする必要がある。

 「金銭の管理が難しいため、チャージを自分の口座に設定できない知的障害者は多い」。障害者を支援する市民団体、市社会保障推進協議会の大畠順一代表委員は指摘する。かたや現金でチャージできるのは、交通各社の営業所など約30カ所。パスピーは車内でチャージできたとあって、大畠代表委員は「現金でチャージできる場所を増やしてほしい」と訴える。

 広島電鉄(中区)は今月20日に子会社の備北交通(庄原市)のほぼ全線と広電バスの広島―三次・庄原・東城線でモビリーデイスの運用を始める。9月7日には路面電車とバスのほぼ全線に広げる。

 一方、広島バス(中区)広島交通、中国ジェイアールバス(以上西区)は本年度から順次モビリーデイスへ切り替えるが、JR西日本のICカードICOCA(イコカ)も使えるよう、対応端末を別に置く方針だ。

 西区の団体職員九内康夫さん(46)は、知的障害を伴う自閉症の次男(20)がパスピーで乗車できるよう、付き添って何度も練習した。「モビリーデイズとイコカの端末があると、本人は迷ってパニックになりそう。慣れた行動を変えることで困る人に配慮してほしい」と願う。

 視覚障害者の街歩きグループ「歩く会友遊」で事務局を務める大田直子さん(62)も「全盲や弱視の人はカードをタッチする位置がバラバラになるのが困る。カードを1枚に統一してくれるのが理想だが…」と漏らす。

 広電は今月上旬、一部の障害者団体と面談し、モビリーデイズの概要を説明した。立岩薫取締役は「今後も丁寧に対応し、不安をできるだけなくせるよう努力したい」と話している。