「自然の恵みを楽しんで」 ハブ研究の服部さんが講演 奄美大島

AI要約

服部正策さんの講演会が奄美市で行われ、奄美大島の自然と人の関わりや世界遺産登録について語られた。

服部さんは40年間の研究生活で毒蛇ハブを中心に奄美の動植物を研究し、地域住民に自然の価値を伝える活動を行ってきた。

奄美・沖縄世界自然遺産登録3周年を記念した講演会には多くの観光客やファンが参加し、服部さんの著書にサインを求める姿も見られた。

「自然の恵みを楽しんで」 ハブ研究の服部さんが講演 奄美大島

 奄美・沖縄に生息する毒蛇ハブの研究で知られる農学博士の服部正策さん(71)=島根県=の講演会が26日夜、鹿児島県奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターであった。服部さんは奄美大島で過ごした40年間の研究生活を振り返り、「奄美は自然と人の暮らしが近く、昔から自然の恵みを利用してきた。これからも生活の一部として楽しんでほしい」などと語った。

 講演は2021年の奄美・沖縄世界自然遺産登録から3年を記念したイベントの一環。奄美大島の森を模した同センター展示室を会場に行われ、島内外から観光客や親子連れなど約80人が聴講した。

 服部さんは1980年に東京大学医科学研究所奄美病害動物研究施設に赴任。2014年3月に准教授で退官後、20年3月まで特任研究員。毒蛇ハブをはじめ奄美の動植物研究を行う傍ら、地域住民へ島の自然の価値や面白さを伝える活動を続け、世界遺産登録に向けた取り組みにも貢献した。

 講演は同センターの岡翔太事務局長との対談形式で進行。服部さんは個性豊かな研究仲間らとのエピソードを披露しつつ、長年の調査で分かったハブのユニークな生態や生息地ごとに違う特徴などを説明した。

 奄美大島の自然環境と人の関わりについて、服部さんは「生き物のほとんどが固有種・希少種でありながら、昔から身近な存在として住民が動植物を生活に利用してきたことが島の魅力であり、他にない特徴の一つ」と指摘。

 世界遺産登録から3年を迎えた奄美・徳之島の今後の方向性について意見を求められると、「生活の一部として自然の恵みを楽しむ暮らしを受け継ぎ、世界に示していってほしい」と語った。

 服部さんは今年春、著書「奄美でハブを40年間研究してきました」(新潮社)を出版。講演には読者も多く参加し、著書へサインを求めるファンの姿も見られた。神奈川県から訪れた石川英雄さん(69)は「(服部さんの)本が大好きで、講演を聞けてとてもうれしい。奄美大島には毎年来ている。いつまでも地元の人が自然を楽しめるような奄美であってほしい」と話していた。