〝平和の祭典〟混乱 フランス高速鉄道で破壊行為 五輪取材先で足止め【静岡新聞社・臨時支局員ルポ】

AI要約

パリ五輪開会式当日にフランスのTGV路線網で破壊行為があり、臨時支局員も影響を受けた。

ナント駅ではTGVが遅れ、線路の破壊が報告される中、開会式を控えたパリでは警備が厳重である中での出来事。

現地の状況を伝える特派員は予期せぬ事態に直面し、パリ五輪が本当に平和の祭典となるかどうか疑問を抱く。

〝平和の祭典〟混乱 フランス高速鉄道で破壊行為 五輪取材先で足止め【静岡新聞社・臨時支局員ルポ】

 【パリ=静岡新聞社臨時支局】パリ五輪開会式当日の26日、フランスの高速列車TGV路線網への大規模な破壊行為があり、現地で取材中の臨時支局員も直接的な影響を受けた。

 同日午前9時、フランス西部の都市ナント。TGVを利用しようと駅を訪れると、電工掲示版には乗車予定の一つ前の車両が「2時間遅れ」と表示されていた。不安げに掲示板を見上げる駅利用者たち。渡仏直前、欧州に滞在経験のある友人から「電車は時間通り来ないからね」と助言を受けていたが、それにしても何かがおかしい―。

 乗車予定の車両は数分遅れでナント駅に到着。掲示板には到着ホームの番号が消失していたため、駅員に聞いてみると親切に案内してくれた。予約座席に腰を下ろし、ようやくほっと一息。選手の情報でもチェックしようか―と携帯電話を見ると、何本もの連絡が。「破壊行為が起きたらしいが大丈夫か」「線路が破壊されたらしい」。ようやく事態を飲み込んだ。ホームに戻ってTGVの女性スタッフに聞いてみると「パリまでの線路は大丈夫。数時間で動くはずよ。私も家がパリだから早く帰りたいの」。異国の地で優しさがなおさら身に染みた。

 前日の女子サッカーグループリーグ初戦の日本―スペイン戦を取材、原稿を書き終えたのが夜。当地で一夜を明かし、26日は開会式のために午前中のうちにパリへ戻る予定だった。とりあえず食料を確保しようと構内のスーパーへ。TGVのブースでは、貴婦人と、TGVスタッフが激しい口調でやりとりしていた。

 現地からのルポで、開会式直前の当地の様子を伝えたのが日本時間26日付の本紙紙面。パリ市内の厳重な警備を目の当たりにしたが、今回の破壊行為は予想だにしなかった。パリ市在住で静岡市清水区出身の松下友紀さん(43)に話を聞き、「『とにかく何事もなく終わってほしい一心』との松下さんの言葉に、大きくうなずいた」と書いていたが、まさか開幕前にこのような事態になるとは。これは本当に〝平和の祭典〟なのだろうか。