【パリ五輪】開会式狙った放火か、仏高速鉄道TGV運休で混乱の北駅「来賓が入国できない…」

AI要約

パリ五輪(オリンピック)開会式を控える当地で、鉄道設備への放火が相次ぎ、TGVを含む多くの列車が運休。開会式への影響が懸念されている。

TGVの仏大西洋岸、東部、北部路線で火災が発生し、復旧のめどは立っていない。乗客は足止めされ、混乱が続いている。

フランス国鉄は「意図的な火災によりTGV路線に大きな影響が出ており、修復には少なくとも週末までかかる見込み」と述べている。

【パリ五輪】開会式狙った放火か、仏高速鉄道TGV運休で混乱の北駅「来賓が入国できない…」

 【パリ26日=木下淳、松本愛香通信員】パリ五輪(オリンピック)開会式(午後7時30分=日本時間27日午前2時30分)を控える当地で、式典当日を狙ったとみられる鉄道設備への放火が相次いだ。フランス国鉄(SNCF)が発表。高速鉄道TGVを筆頭に多くの列車が運休するなどの混乱が出ている。

 前日25日夜から26日未明にかけ、TGVの仏大西洋岸、東部、北部路線の少なくとも3地点で、妨害行為による運行施設の火災が起きた。復旧のめどは立っておらず、首都中心部セーヌ川で行われる開会式への影響が心配されている。

 北部路線の玄関口パリ北駅では、遅延や運休がアナウンスされた。多くの乗客が足止めを食い、座り込むなど疲れた様子の乗客で駅構内、ホーム手前まで人であふれた。警官や銃を抱えた警備隊が多数、目を光らせている。

 隣国ベルギーの首都ブリュッセル中央駅からの列車が到着せず、空になった8番線では、ベルギー選手団のスタッフが駅員に説明を求めた。状況を尋ねると「幹部や開会式の来賓が到着する予定だったが、入れていない。ブリュッセルの駅で運行再開を待っている状態。おそらく夜の開会式には間に合うと思うけど…」と困惑していた。

 レキップ紙は「SNCFが、TGV路線をまひさせることを目的とした『大規模攻撃』の被害を受けた」との見出しで速報。SNCFによる「五輪開会式の数時間前に意図的な火災が発生し、我々の施設に被害が及んでいる」との声明を伝えた。アラス、パニーシュルモセル、クールタラン地区で複数の悪質な行為が記録されているという。「その結果、大西洋路線、北部路線、東部路線が大変な混乱に陥っている。南東路線には影響は及んでいない」と報告している。

 SNCFは「いくつかの電車は迂回(うかい)されるが、多数の列車が運休せざるを得ない」とも付け加えた。「この状況は、修理が行われる間、少なくとも週末中は続くだろう」。修復に着手するため既に作業員が現場入りした。乗客に対しては「できるだけ移動を延期し、駅に出向かないよう」求めている。

 同紙は、パトリス・ベルグリエーテ運輸相が「犯罪行為」と強く非難する投稿も紹介した。X(旧ツイッター)で火災は故意によるものだと主張し「昨夜、複数のTGV路線を標的とした悪質な行為が組織的に行われ、週末まで交通に大きな混乱が生じるだろう。多くのフランス人の休暇への出発を巻き添えにする犯罪行為を強く非難する」とつづっている。