昆虫を捕るため? 樹皮削られる被害、法違反の恐れ 佐世保「針尾無線塔」敷地

AI要約

佐世保市の国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所」の敷地内で樹木が被害を受けている。樹皮が削られ、根元が掘られており、保存会はこれを禁止し警察に通報する方針。昆虫採集が原因とみられるが、犯人は特定できず。

無線塔周辺の損傷に加え、敷地内のコンクリートも傷つけられている。保存会は国有財産法に反する行為として厳しく対処を検討中。昆虫の販売可能性も心配されており、深刻な問題となっている。

子どもたちの楽しみも奪う迷惑行為で、親子での昆虫採集も控えられている。保存会は文化財を守るための対応を呼びかけており、被害が再発しないように警戒している。

昆虫を捕るため? 樹皮削られる被害、法違反の恐れ 佐世保「針尾無線塔」敷地

 長崎県佐世保市の国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所」(針尾無線塔)の敷地内で、樹木の樹皮が削られるなどの被害が出ている。カブトムシやクワガタなどの昆虫を捕るためとみられ、針尾無線塔保存会(田平清男会長)は枯死につながるとしてこれらの迷惑行為を禁止。事態を重く見て警察への通報など強く対処する方針だ。

 保存会によると、異変に気付いたのは6月中旬ごろ。広範囲にわたって樹皮が削られ、木の根元も掘られているのを確認した。樹皮を傷つけ蜜を出して昆虫を集めるのが目的とみられる。7月には樹木群の近くにある見学道のコンクリートの一部も壊されていた。

 伸縮式のはしごを持ったり、ヘッドライトを付けたりした人が来たのは目撃されているが、誰がやったかは不明。田平会長は「ここまでひどいのは初めて。文化財の敷地内を荒らされては困る」と憤る。捕った昆虫を販売している可能性も拭えず、不満を募らせる。

 市教委によると、無線塔などがある敷地全体が国の財産。敷地内の樹木を傷つける行為は国有財産法に反する恐れがあるという。保存会は禁止事項を明示した紙を木に巻き付け「直接または防犯カメラ画像で確認次第、警察に通報する」と警告。保存会のメンバーがいない時間帯での“犯行”とみられ、警察に巡回を求めることも検討している。

 迷惑行為は、子どもたちの夏の楽しみも奪うことに。例年、親子らで昆虫採集する姿があったが、今年は控えてもらっている。田平会長は「楽しみにしていた子どもたちには申し訳ないが、文化財を守るために理解してほしい」としている。