日出町教委と町歴史資料館が小中の「学校日誌」永久保存へ 明治期から出席状況や記載行事 9校分「歴史を次世代につなぐ」

AI要約

大分県の日出町教委と町歴史資料館は町立の小中学校で作成された「学校日誌」の永久保存を決めた。同様の取り組みは全国的に珍しいという。

日誌は明治期から続いており、児童や生徒の出席状況、天気、学校行事の内容などを記載する。

収集された日誌には歴史的な出来事や有名人の訪問などが記録されており、関連する展示会や講座も開催された。

日出町教委と町歴史資料館が小中の「学校日誌」永久保存へ 明治期から出席状況や記載行事 9校分「歴史を次世代につなぐ」

 大分県の日出町教委と町歴史資料館は町立の小中学校で作成された「学校日誌」の永久保存を決めた。同館によると、学校教育法施行規則で定められた保存期間を過ぎれば廃棄する学校が多く、同様の取り組みは全国的に珍しいという。町教委は「日誌で初めて分かった事実もある。歴史を次世代につなぐ有意義な取り組みにしたい」と話している。

 町教委によると、日誌は各校の教頭が毎日記入している。明治期から続いており、児童や生徒の出席状況、天気、学校行事の内容などを記載する。

 日誌収集のきっかけは、廃藩時に日出城が取り壊された経緯の調査。本丸跡にある日出小の日誌を2021年に解読し、当時の様子をうかがい知ることができる記載があることが分かった。

 町内の歴史を知る貴重な資料として、これまでに同校の1884~1950年度の日誌を集めた。「ほぼ良好な状態で残っていた」という。

 「町内乕列剌(これら)病蔓延ノ兆候アルヲ以テ来ル八日ヨリ十三日マデ更ニ臨時休業度スコトニツキ各生徒父兄ヘ通知セリ」―。1902年9月の日誌(当時は暘谷尋常小学校)には、コレラの感染が全国的に拡大して町内にも感染者が出たことで、3週間にわたり臨時休校となった記録が残っている。

 このほかの日誌には、新渡戸稲造や山本五十六といった歴史的に知られた人物が町や同校を訪れたことも記されていた。同校が創立150年を迎えた昨年、展示会や講座を催して成果を発表した。

 町教委、同館は、日出小以外でも保全が必要と判断。閉校した学校を含め計9校の日誌を集める。プライバシーへの懸念があるため原則非公開。研究や啓発を目的とした利用申請があった場合、公開するかを審議する。本年度中に、2018年度以前の日誌を収集する予定にしている。

 同法施行規則の義務付ける学校日誌の保存期間は5年。同館によると、個人情報の流出を警戒し、保存期間が過ぎれば廃棄する学校が多い。

 平井義人館長(69)は「全国の多くの学校で日誌は廃棄されており、当時の状況が分からなくなっている。保存の動きを全国に広めたい」と力を込めた。