おとな救急電話 利用低調 「#7119」茨城県内35% 不急搬送減少に効果も

AI要約

茨城県の「おとな救急電話相談(#7119)」の利用率が伸び悩んでいる。不要不急の救急搬送の多さが背景にあり、電話相談の積極的な活用が呼びかけられている。

救急電話相談は茨城県で2018年から始まり、24時間365日受付。電話相談の利用件数は増加しているが、全体の利用率は低い。

軽症者による救急出動件数の多さが問題であり、電話相談の活用で受け入れ体制の正常化が図られる可能性がある。

おとな救急電話 利用低調 「#7119」茨城県内35% 不急搬送減少に効果も

急な病気やけがで救急車を呼ぶか迷った時に相談できる茨城県の「おとな救急電話相談(#7119)」の利用が伸び悩んでいる。軽症者など不要不急の救急搬送の多さが背景にあるとみられ、同県の電話相談利用率は35%程度。首都圏に比べて低い状況となっており、県は救急車の適正利用とともに電話相談の積極的な活用を呼びかけている。

消防庁によると、救急電話相談は急な病気やけがの時、救急車を呼んだ方がいいか、すぐに病院へ行った方がいいかについて、医師や看護師、相談員などからアドバイスを受けられる事業。

茨城県では2018年10月、県メディカルセンター(同県水戸市)が実施していた医療機関案内に代わる事業として始まった。15歳以上の「おとな」と15歳未満の「子ども」の2種類あり、24時間365日体制で受け付ける。緊急性が高いと判断された場合は受け入れ可能な医療機関も案内する。

県医療政策課によると、おとな救急電話相談の利用件数は年々増加。22年度は約4万6700件で、21年度比64%増と大幅に伸びた。しかし、茨城の救急出動全体に占める電話相談の利用率は35%程度で、60%を超える東京都や横浜市を大きく下回っている。

電話相談の利用率が向上しない背景の一つは、不要不急の患者に対する救急出動件数の多さだ。22年度は約13万1700件のうち、ほぼ半数に当たる約6万1600件が軽症者だったという。

救急患者を受け入れる県立中央病院(同県笠間市)は、電話相談の活用で「救急搬送が一定程度減る効果があり、受け入れ体制の正常化にもつながる」と指摘。電話相談を通して患者の容体などが把握できれば、診療までの時間や手間が短縮できるという。

ただ、電話相談の担当者が受け入れ病院の態勢を十分把握していないケースもあるため、今後は「さらに密なコミュニケーションが必要」としている。

県は、救急車の適正利用を図ろうと、電話相談を呼びかけるポスターを公共施設などに掲示。このほか、案内カードなども配布している。

同課の担当者は「限られた医療資源を有効活用できるよう、迷ったらまず電話相談してほしい」と呼びかけている。