浜松新野球場 供用開始時期見通せず 規模・構造絞り込み焦点、静岡県が基本計画公表

AI要約

静岡県は19日、浜松市の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する新野球場について、国の事業認可の前提となる基本計画を公表した。最短で2032年度とされる供用開始時期がずれ込む公算が大きくなった。

県は基本計画で野球場の規模・構造について3案を併記した。高額な建設コストや意見集約の難しさなど課題が浮き彫りになった。

県は浜松市とともに協議会を立ち上げ、費用負担や事業手法の検討に着手する。パブリックコメントの結果も公表され、防災や自然環境に関する意見も多く寄せられた。

浜松新野球場 供用開始時期見通せず 規模・構造絞り込み焦点、静岡県が基本計画公表

 静岡県は19日、浜松市の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する新野球場について、国の事業認可の前提となる基本計画を公表した。素案から大きな変更はなかったが、事業スケジュールの一部を明記せず、最短で2032年度とされる供用開始時期がずれ込む公算が大きくなった。規模・構造の絞り込みが今後の焦点となる。

 県が4月に示した素案は国の事業認可や用地取得に約3年、設計・施工に約5年かかると明記していた。今回公表した計画では事業認可や用地取得、規模・構造の絞り込みにかかる年数の記載を見送り、設計・施工は約5~7年とした。

 関係者によると、鈴木康友知事の方針により、県と市でつくる新たな協議会でエリア全体の利活用構想を検討する必要が生じたことに加え、用地取得や絞り込みに要する期間が見通せないことが背景にある。県公園緑地課の担当者は取材に「供用開始時期は決まっていない」と述べるにとどめた。

 県は基本計画で野球場の規模・構造について①1万3千人の屋外型②2万2千人の屋外型③2万2千人の多目的ドーム型-の3案を併記した。用地取得と並行して1案に絞り込むとしているが、高額な建設コストなどを巡って県議会の中でも温度差があり、意見集約は難航が予想される。建設資材の高騰や人手不足などを背景に、最大370億円の事業費がさらに膨らむとの指摘も出ている。

 県は浜松市とともに協議会を立ち上げ、費用負担や事業手法の検討に着手する。民間事業者もオブザーバー参加する見通しで、稼働率を向上させるための方策などを話し合う。

 県は基本計画と合わせてパブリックコメント(意見公募)の結果も公表した。県が示した3案いずれも賛否があり、絞り込みの難しさが改めて浮き彫りになった。防災や自然環境、建設費に関する意見も多く寄せられ、建設地の再検討を求める声もあった。

 基本計画とパブリックコメントは県公園緑地課ホームページで公開している。

 (政治部・森田憲吾)