走行中の「CO2排出」を語るだけじゃ「木を見て森を見ず」! クルマの「一生涯」で出すCO2排出量を考える時代がきている

AI要約

地球温暖化対策として、自動車業界におけるCO2排出量削減が重要であり、製造過程と走行についてそれぞれ取り組まれている。

自動車製造においては、サプライヤーから最終組立までの工程でCO2排出量削減活動が必要であり、ライフ・サイクル・アセスメント(LCA)の概念が重要である。

さらに、自動車の一生にわたってCO2排出量を考慮し、欧州連合ではバッテリーパスポート制度など、広義のLCAが進んでいる。

走行中の「CO2排出」を語るだけじゃ「木を見て森を見ず」! クルマの「一生涯」で出すCO2排出量を考える時代がきている

 カーボンニュートラルとか、SDGsといったキーワードが世の中で知られるようになって久しい。持続的に地球環境を考える上で、地球の温暖化が大きな社会課題になっているためだ。

 温室効果ガスの大半を占めるのが、二酸化炭素(CO2)。

 そのため、人間社会が作り出すCO2排出量を極力抑えようという動きがグローバルに広がっているところだ。

 自動車のCO2量抑制については、実際に走行する運輸領域と、製造する過程での生産領域の大きくふたつの領域にわけて考えられる。

 走行に関するCO2排出量については、ガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車など、内燃機関で化石燃料を燃焼させてエネルギーを得ているため、燃費の向上が実質的なCO2排出量の抑制につながると考えられている。

 一方で、自動車製造については、最終組立工程を行う自動車メーカー工場では、工場に供給する電力の一部を工場敷地内に太陽光パネルや風力発電装置を設置してまかなったり、燃料電池を使うフォークリフトを導入するなどさまざま手法を取り入れる動きが加速している。

 また、最終組立までに至る過程では、一次、二次、三次、そして四次など、部品メーカー(サプライヤー)が段階的に部品を製造しているため、これらの製造過程でそれぞれの工場でどのようなCO2排出量抑制活動をしているかも、自動車メーカーにとっては認識する必要がある。

 そのため、一概にこの自動車工場でのCO2排出量が多いとか、1台の新車を製造するためのCO2排出量を正確に割り出すといったことは難しい。

 また、部品という形になるまでの原材料の採掘状況や、そこからの輸送、さらに部品メーカー間や部品メーカーから自動車メーカー工場までの輸送の際にも、CO2は排出されている。

 こうした一連の流れにおいては、ライフ・サイクル・アセスメント(LCA)という概念がある。

 さらにいえば、自動車メーカーが自動車販売店に新車を卸売り販売したあと、ユーザーが所有車を転売した後の二次流通や、海外に輸出された場合の他国での流通状況、そして最終的には自動車が解体されるまでの、本当の意味での自動車の一生にわたり、CO2排出量の抑制を考えるべきだ。

 直近では、欧州連合(EU)がEVなどで使う車載バッテリーについて、バッテリーの一生をモニタリングするバッテリーパスポートという規制を導入するなど、広義におけるLCAが社会実装されている。

 今後も、日本を含めたグローバルで、自動車に関するCO2排出量抑制の「理想と現実」に対して改善が進むことだろう。