鹿児島県 鼻腔ワクチンの全頭投与開始 県内初、購買後の疾病予防へ導入 より安心な子牛で信頼向上 喜界町和牛改良組合

AI要約

喜界家畜市場での子牛全頭への鼻腔粘膜ワクチン投与が初めて導入された。

全頭投与の目的は、安心安全な子牛を提供し、市場性を高めること。

組合員の努力により、全ての子牛にワクチンが接種された。

鹿児島県 鼻腔ワクチンの全頭投与開始 県内初、購買後の疾病予防へ導入 より安心な子牛で信頼向上 喜界町和牛改良組合

 喜界町和牛改良組合(伏見健組合長)は7日、喜界家畜市場の競りに上場される子牛全頭へのTSV―3(鼻腔粘膜ワクチン)投与を開始した。離島から本土へ輸送する子牛の疾病予防が目的で、全頭投与の導入は県内でも初めてという。関係者らは「元気な子牛を購買者に届けることで、町内生産牛の信頼や市場性を高めていければ」と期待している。

 購買者へのより安心安全な子牛の提供が目的。肥育農家のいない喜界町では、子牛の段階で全頭が競りにかけられ県内外へ輸送される。ただ子牛の場合は免疫力が低く、肺炎などの疾病にかかりやすいといった側面もある。対応を望む声は以前からあり、その予防が課題になっていた。

 導入に向けては、今年3月に組合員を対象にしたアンケート調査や座談会を実施。5月の試験で効果を実証し、6月に行われた総会で可決した。

 組合事務局のJAあまみ喜界事業本部によると、鼻腔粘膜ワクチンは牛の免疫力を活性化する効果があり、発症や重症化のリスクが軽減できる。▽牛RSウイルス感染症への効能▽出産直後より投与可能▽鼻粘膜免疫能を刺激―などの特長があり、従来のワクチンより安全性や即効性も高く、取り組みは全国でも先進的だという。

 7日に行われた同家畜市場の競りでは、233頭が上場され、全ての子牛がワクチンを接種した。費用はそれぞれの生産者が負担。生産者は注入器を手に、子牛の鼻腔に次々とワクチンを投入した。

 安全性への信頼が高まれば、下落傾向が続く子牛の価格上昇につながる可能性もある。JA担当者は「業界が厳しい状況の中、安心安全の認識が購買者に広まれば相場回復も期待できる。今後も生産者や購買者の声を聞きながら継続できるよう努めていきたい」と話している。