「赤本」(7月13日)

AI要約

70年の歴史を持つ受験問題を掲載した「赤本」が表紙デザインの変更を行い、若い世代に受けの良い新風を取り入れたことが報じられている。

自民党内で岸田首相の退陣論が高まり、次期衆院選に向けた党のデザイン刷新を含む動きが注目されている。

政治の世界では少子化や財政赤字などの難題が相次ぐ中、世論の採点が若者層へのアピール力に影響を及ぼす可能性がある。

 分厚いページをめくったのは、夏休みだったはず。大学の受験問題を掲載した「赤本」。希望校の難問に舌を巻き、受験を諦めた―。そんな苦い記憶をお持ちの方もおいでだろう▼70年の歴史を持つシリーズ本に異変が起きた。本紙が先日、報じている。赤を基本に太字で大学名。長年親しまれた表紙デザインだが、今どきの受験生には威圧感を与えるという。ソフトさを求める時代の空気の表れと言える。淡い緑が穏やかさを演出するスタイルに変更された。評判は上々のようだが、おじさん世代には、少し寂しい▼こちらの表紙の行方はさて…。自民党内で岸田文雄首相の退陣論が表面化し、日に日に高まりをみせている。通常国会を何とか乗り切ったものの、裏金問題への対応で生まれた党内のきしみは消えない。支持率の低迷が続く。次期衆院選の「顔」として、いかがなものか、の声も。党のデザイン刷新を問う総裁選は9月に迫る▼少子化、財政赤字、物価高と、政治の世界は難問が渦巻く。会津が生んだ伊東正義副総理の言を借りれば、本の表紙だけ変えて解決は望めるか。世論の採点が赤点続きなら、若い世代に受けの良い新風によろめいてしまうかも。<2024・7・13>