連合、立民へ「共産切り」要求 都知事選敗北に芳野会長「逃げた票もあった」

AI要約

連合と立憲民主党が次期衆院選に向けて協力を図る方針を確認し、共産党との選挙協力を巡る議論が活発化。

東京都知事選での敗北を受け、立民と連合は共産党との距離感を見直す必要性が浮上。

立民執行部は共産との関係構築に難色を示す一方、共産は共闘の深化を求めており、調整が難航している状況。

連合、立民へ「共産切り」要求 都知事選敗北に芳野会長「逃げた票もあった」

立憲民主党と連合は11日、幹部間の定例の懇談を同党本部で開き、次期衆院選の対応などを協議した。連合の芳野友子会長は、共産党との選挙協力を否定する従来の立場を改めて示し、東京都知事選で立民が支援した前参院議員、蓮舫氏の敗北を巡り「共産が前面に出すぎていた。逃げてしまった票もあったのではないか」と懸念を伝えた。

次期衆院選に関しては、連合が支援する立民、国民民主両党が連携を図る方向性を確認した。立民の泉健太代表は「国民の生活を守る政権を作るために全力を尽くしたい」と表明し、芳野氏は両党間の候補者調整を加速するよう促した。

衆院選に向けて連合と両党が「3者で一つの固まりになる」(芳野氏)機運に水を差したのが先の知事選だ。立民や共産が蓮舫氏の支援に回った一方、国民民主都連と連合東京は3選を果たした小池百合子氏を支持し、対応が分かれた。

しかも、蓮舫氏の得票は3番目にとどまり、政党から支援などを受けなかった前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏をも下回った。国民民主は、大惨敗によって「『立憲共産党』路線は終焉を迎えた」(玉木雄一郎代表)と主張し、衆院選を見据えて「共産切り」を立民に求めている。

泉氏は11日の懇談で、知事選での敗北に関し「今後さまざまな分析を行っていく」と伝えた。一方で「石丸氏は映像の加工をベースにした『瞬間風速型』の政治だ。蓮舫氏は正々堂々とした戦いを挑んだ」と負け惜しみも口にした。

今後の焦点は、立民が衆院選に向けて共産との距離感を見直す方向に動くかどうかだ。泉氏の任期満了(9月末)に伴う次期代表選でも争点の一つに浮上する可能性がある。

懇談後に記者団の取材に応じた芳野氏は、立民候補が共産の支援を受けて当選した4月の衆院東京15区補欠選挙に改めて言及し「共産と並んだ活動が行われていた。看過できない」と強調した。その上で「今回の知事選も同じような取り組みだった」と指摘し、立民が知事選の分析をまとめるのを待つ考えを示した。

とはいえ、党内では衆院選の接戦区では共産とのすみ分けが不可欠だという声が根強い。適度に距離を置いて候補を一本化したい、というのが立民執行部の本音だが、共産は「対等・平等、相互尊重」(小池晃書記局長)の共闘への深化を求める。連合、共産双方の顔が立つ落としどころを見いだすのは至難の業だ。

一方、立民都連会長を務める長妻昭政調会長は11日の記者会見で、知事選の敗北を受けて「次の総選挙で都連の候補者全員を当選させる使命がある。引き続き努力する」と語り、会長職を引責辞任する可能性を否定した。(深津響)