安寧の祈り、金字に感じ 県立美術館でまるごと奈良博

AI要約

金沢市の石川県立美術館で開催中の奈良国立博物館展「まるごと奈良博」に、高砂大学校同窓会書道クラブのメンバーが国宝「金光明最勝王経」を鑑賞し、その美しさに感動した。

参加者は金字が光を放つ写経をじっくりと観察し、護国の祈りを感じ取った。聖武天皇の詔によって建立された国分寺に納められたこの写経は、美しさと歴史的価値で称賛される。

展示では他にも聖徳太子の立像など仏教文化の貴重な遺産があり、阿部豊寿さんが書の美しさについて解説。奈良博展は国宝や重要文化財を含む205点を展示し、県、県立美術館、北國新聞社による目玉事業として開催されている。

安寧の祈り、金字に感じ 県立美術館でまるごと奈良博

  ●金沢の高砂大学校同窓会、国宝「国分寺経」を鑑賞

 金沢市の石川県立美術館で開催中の奈良国立博物館展「まるごと奈良博」は仏像、仏画に加え、奈良時代の国宝「金光明最勝王経(こんこうみょうさいしょうおうきょう)」をはじめとする写経に熱いまなざしが注がれている。12日は同市の高砂大学校同窓会書道クラブの約30人が団体鑑賞に訪れ、千年の時を経てもなお輝く金の一字一字に見入り、安寧(あんねい)や平穏の祈りを感じ取った。

 金光明最勝王経(国分寺経)は諸仏により国が護(まも)られることが説かれ、写経は聖武天皇の詔(みことのり)によって建立された国分寺の塔に納められた。紫紙に書かれた金字は今もさんぜんと光を放ち、「天平(てんぴょう)写経の白眉(はくび)」と評される。

 指導する阿部豊寿さん(県書美術連盟理事)は、文字が書かれた後にイノシシの牙で磨かれたこと、護国の祈りを込めて書かれたことなどを解説し、参加者が目を凝らした。田中清之会長(86)=金沢市=は「横の線を延ばすような書体で、流れるように書かれていた。今さっき書いたかのような美しさだ」と感動を語った。

 阿部さんは「ただお経を写すだけでなく、当時の書のエキスパートが手掛けた『作品』といえる。作り手として字の美しさに触れてもらいたい」と話した。

 仏教を日本に広めた聖徳太子が2歳の頃の姿を表した「南無仏太子立像(なむぶつたいしりゅうぞう)」も熱心に鑑賞した。太子は浄土真宗の宗祖、親鸞聖人が「恩人」として尊敬したことから、北陸で特に盛んに信仰される。

 十七条憲法制定日の4月3日に寺院などで揮毫(きごう)を続ける阿部さんは「太子が説いた和の精神が今につながっていることを感じてほしい」と話した。

 奈良博展は「ポスト国民文化祭」の目玉事業として県、県立美術館、北國新聞社でつくる実行委員会が主催し、国宝8点、重要文化財93点を含む計205点が展示される。

 前期は28日までで、後期は31日~8月25日に開かれる。入場料は一般1500円、大学生千円、高校生800円、小中学生500円。内灘町以北の小中学生は無料となる。