再び犠牲出さないで 南砺・砂子谷の土砂崩れ、13日で1年

AI要約

2023年7月13日未明の豪雨で、南砺市砂子谷で発生した土砂崩れに巻き込まれた市議だった赤池伸彦さんが亡くなり、一周忌を迎える妻佳美さんの心の整理がまだできていない。

赤池さんの遺志を受け継ぎ、地元の地域づくり協議会が防災活動に取り組み、災害で再び犠牲者を出さないよう願っている。

赤池さんの選挙ポスターが今も宅に掲げられ、一周忌には多くの親類が集まり、明るい性格をしのんでいる。

再び犠牲出さないで 南砺・砂子谷の土砂崩れ、13日で1年

  ●赤池さん妻、防災協議に参加「心の整理できていない」

 2023年7月13日未明の豪雨で、南砺市砂子谷で発生した土砂崩れに巻き込まれた市議だった赤池伸彦さん(享年65)=同市高窪=が亡くなり、13日で1年を迎える。自宅で一周忌の準備を進める妻佳美さん(65)は「まだ心の整理ができていない」と語る一方、地元の地域づくり協議会が進める防災協議に参加し、「災害で再び犠牲者を出さないでほしい」と願っている。

 佳美さんは「慌ただしくあっという間の1年間だった」と振り返った。南砺市に大雨注意報が発令された10、11日には降りしきる雨を見て「ちょうど1年前のことを思い出して不安になった」と胸中を打ち明けた。

 昨年7月13日午前1時半ごろ、砂子谷と高窪の境を流れる渋江川が氾濫して道路が冠水。赤池さんは連絡が取れない住民に避難を呼び掛けていた際、土砂崩れと倒壊家屋に巻き込まれた。現場は中山間地域で、赤池さんの自宅から渋江川を挟んで向かい側だった。

 砂子谷では、豪雨に続いて能登半島地震でも農地で大規模な土砂崩れが発生し、災害に相次いで見舞われている。地元の8自治会で構成する南蟹谷地域づくり協議会は5月、災害に備えて高齢者の避難誘導など住民の役割を記した避難地図を作ることになった。高窪地区の地図作製に参加した佳美さんは「地図を活用して、住民の犠牲を防ぐことができれば」と期待した。

 豪雨災害時、赤池さんと行動を共にしていた砂子谷自治会の鳥越知証会長は、「あと5メートル現場から離れていれば無事だった。赤池さんの遺志を忘れず、今後の防災活動につなげたい」と語った。

  ●今も選挙ポスター

 赤池さん宅の玄関には、今も、赤色のネクタイを締めて笑顔の赤池さんの選挙ポスターが貼られている。佳美さんは「13日の一周忌には大勢の親類が集まる。明るい性格だった夫をしのびたい」と話した。

 

 ★2023年7月の富山県内の豪雨 発達した雨雲が列をなして局地的に豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生し、7月12日夜から13日未明にかけて富山県内を西から東に移動し、全域に非常に激しい雨を降らせた。24時間降水量は富山市秋ケ島205.5ミリ、砺波市で176ミリで観測史上最大を記録。800軒を超える家屋の浸水被害や、河川や道路などの公共土木施設、農地、林道に多数の被害が発生し、昨年6月の豪雨災害と合わせて国の激甚災害に指定された。