丹羽家歴代藩主の墓を一カ所に 福島県二本松市の菩提寺・大隣寺に東京の墓所を移設統合

AI要約

福島県二本松市成田町の大隣寺には、江戸時代の二本松藩主・丹羽家の菩提寺があり、そこに丹羽家の墓所が移設される取り組みが進んでいる。

歴代藩主全ての墓が二本松に集まり、先人の歴史を顕彰する目的で墓所が一体整備される。

丹羽家18代の現当主と市内の有識者らが協力し、事業費の一部は市の補助金を活用して墓所の統合を進めている。

丹羽家歴代藩主の墓を一カ所に 福島県二本松市の菩提寺・大隣寺に東京の墓所を移設統合

 江戸時代の二本松藩主・丹羽家の菩提(ぼだい)寺である福島県二本松市成田町の大隣寺の市史跡丹羽家墓所に、東京都港区の青山墓地にあるもう一つの丹羽家墓所を移設し、大隣寺丹羽家御廟として一体整備する取り組みが進んでいる。10日に大隣寺で中枢部分の工事が行われ、青山墓地から運んだ約4トンの墓石を境内の丹羽家墓所の入り口に安置した。歴代藩主全ての墓が二本松にそろい、先人の歴史を末永く顕彰する。

 大隣寺には二本松の基礎を築いた初代光重、3代長之、4代秀延、戒石銘を掲げた5代高寛、6代高庸、7代長貴、8代長祥、9代長富の藩主8人の墓がある。江戸藩邸で没した2代長次は江戸の泉岳寺に埋葬され、その後、青山墓地に改葬。戊辰戦争時の藩主10代長国と最後の藩主11代長裕、以降の歴代当主らは青山墓地に埋葬された。

 市内の有識者でつくる二本松史跡保存会の後藤宏迪会長(元二本松市副市長)らは「墓所を1カ所にして末永く保存したい」と、丹羽家18代の現当主・長聰(ながとし)さんと協議し統合が決まった。事業費は約800万円で、市の補助金を活用する。

 これまでに青山墓地の墓石、台座、墓誌、慰霊碑2基を大隣寺に運んだ。墓石は高さ2メートルの高野石で、羅漢像の浮き彫りが施されている。台座に「寛政六年」とあり、230年前に建立されたとみられる。10日は新長石材工業の新長邦夫社長、佐藤造園土木の佐藤運治社長、フジ技建の大藤博社長ら市内のベテラン技術者がそろい、3時間かけて設置工事に当たった。重く大きな墓石を重機で慎重につり上げ、台座に据え付けた。墓誌も設置した。

 後藤会長は「昨年は丹羽家の二本松入府380年。歴代藩主がそろう墓所を末永く大切にしていきたい」と語る。市教委文化課の佐藤真由美さんは「市史跡に藩主の墓が里帰りすることは歴史的な意義がある。さらに詳しく調べたい」と話している。今後、柵の設置など周辺を整備し、今秋に完工して法要を行う予定。