現代のファーブル(7月11日)

AI要約

ファーブル昆虫記は、昆虫の研究成果を読み物としてまとめた古典的な著書であり、奥深い昆虫の世界についての興味深い情報が紹介されている。

新説の提唱や昆虫採集場の整備など、昆虫に親しむ機会が重要視される現代においても、ファーブルの姿勢が尊重されている。

読者は、普段のデジタルから離れて自然を感じ、虫取り網で野山を駆け巡ることで新たな発見をする可能性があるというメッセージが示唆されている。

 「ファーブル昆虫記」は身近な生き物の研究成果を論文の形ではなく、読み物としてまとめた。100年以上前に出版されたが、今もなお多くの人を魅了する▼種によっては大空を自由に飛んだり、水の中で暮らしたり。約4億年も前から生息し、いまだ分からないことだらけ。その世界は奥深い。歴史上の大家でなくても興味を引かれる。例えばカブトムシ。「夜行性」が定説だが、どうやらそうでもないらしい。餌場が同じ凶暴なオオスズメバチがいなければ昼間だって活動的―。国内の昆虫生態学者が詳細な観察を基に新説を唱えている▼田村市が市内常葉町に公設の昆虫採集場の整備を進めている。子どもまでもスマホの仮想空間に遊ぶ時代。娯楽はあふれている。だからこそ親子で自然に親しみ、生き物に触れてもらう。地域を見つめ直し、豊かさを知ってもらう契機にもなる▼〈「見ることは知ることである」ということを、ファーブルほどよく実践した人はいなかった〉。伝記をまとめたフランス人医師ジョルジュ・ビクトール・ルグロの評だ。普段の端末から離れ、虫取り網を手に野山を駆け巡る。大発見があるかもしれない。君こそ現代のファーブルだ。<2024・7・11>