特別支援学校寄宿舎、今年度末に閉舎 栃木県教委が方針公表 地域社会で学ぶ教育重視 通学バスなど対応案も提示

AI要約

栃木県の特別支援学校寄宿舎の閉鎖延期が2024年度末に決定された。県教育委員会は地域社会で共に学ぶ教育を重視し、閉鎖方針を維持した。

閉鎖後の対応策として、遠距離生徒にはスクールバスを利用させる計画や寄宿舎指導員の配置転換がある。また、特別支援教育の充実に向けてさまざまな取り組みが提案されている。

知事は存続を求める意見も尊重し、議論を重ねて理解を深める努力をする考えを示した。

特別支援学校寄宿舎、今年度末に閉舎 栃木県教委が方針公表 地域社会で学ぶ教育重視 通学バスなど対応案も提示

 那須、栃木の両特別支援学校寄宿舎の問題を巡り、閉舎を延期していた県教委は10日、閉舎時期を新たに2024年度末とする方針を示した。23年3月末としていた閉舎の延期を22年12月に表明して以降、閉舎時期を明らかにしたのは初めて。有識者検討会から3月に提出された報告書などを踏まえ、県教委は障害の有無にかかわらず地域社会で共に学ぶ教育の方向性が望ましいなどと判断し、閉舎の意向を維持した。今後、保護者の意見を募るなどして正式決定する。

 同日、栃木市で開いた保護者らとの意見交換会で方針を示した。

 両校の寄宿舎を巡っては、県教委が21年に閉舎を発表したが、「教育的効果は大きい」と存続を求める保護者らの反対を受けて延期し、検討会を設置していた。検討会は「(寄宿舎の)発展的解消が適当」などとする報告書を県教委に提出。県教委は現在、寄宿舎を含めた特別支援教育の充実に関する方針を検討している。

 この日の意見交換会には、保護者約20人が出席した。寄宿舎について県教委の長裕之(ちょうひろゆき)教育次長は「障害の有無にかかわらず、地域社会で生活できる視点が求められている。本県の特別支援教育をさらにレベルアップさせていくという決意の下、閉舎の方針を提示した」などと説明した。

 閉舎後の対応案も明らかにし、通学が困難で寄宿舎を利用している生徒が両校に計3人在籍していることから、遠距離生にはスクールバスを配車するとした。寄宿舎指導員は県内の知的特別支援学校に配置転換し、各学校で教員と共に子どもの生活訓練や宿泊学習のサポートを行う。

 一方、特別支援教育の充実に向けては、分教室を設置することや、宇都宮市の岡本特別支援学校に「知的障害教育部門」を新設する案を提示。「個に応じたきめ細かな指導・支援」を望む声が3割に上った保護者対象アンケートの結果も紹介した。

 同日の定例記者会見で福田富一(ふくだとみかず)知事は「存続を求める団体や県民がいることも事実。引き続き議論を深め、理解を得る努力を教育委員会でしていくと思う」と述べた。