子が卒業後も居座り、不当に権力を振りかざすPTA元会長 PTA改革の壁に 学校や教委も口出せず

AI要約

PTAに居座る元会長が改革を阻む存在となっており、活動の負担と限界を感じる現役保護者が増えている。

元会長の発言力や経験が現役保護者の改革意欲を阻害し、役員会での提案も却下される状況が広がっている。

PTA内での権力者による私物化や専制に対し、現役保護者が問題意識を持ちつつも、その打破が難しい実態が浮き彫りになっている。

子が卒業後も居座り、不当に権力を振りかざすPTA元会長 PTA改革の壁に 学校や教委も口出せず

 改革に取り組むPTAが増えている一方で、その改革を阻む人たちがいる。一例が、長年PTAに居座る元会長だ。経験と実績を武器に発言力を持つ。負担軽減をしようにも、元会長らが前例踏襲の重しになり、諦めが広がる。AERA 2024年7月8日号より。

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「うちのPTAは“顧問”と呼ばれる元保護者が仕切っていて、会長も含め誰も逆らえないんです。改革を提案しても必ずこの人につぶされてしまう。どうしたら追い出せるのか」

 PTAの取材を続けてきた筆者のもとに、こんな相談が寄せられた。似たような話はときどき聞く。特定の人物が同じ役職を長く続け、PTAやその連合組織を私物化してしまうことがあるのだ。最近は会則で役職任期に上限を設けるPTAが増え、現役保護者による“専制”は昔と比べると減った印象だ。だがOB・OGと呼ばれる元会長が何らかの役職を名乗りPTAに居座ると歯止めがかけられない。そのために現役保護者が悩むケースをあちこちで見かける。

 冒頭の相談は、ある公立小学校に子どもを通わせる母親から寄せられた。昨年度はPTAで保護者向け講演会を企画・実行する委員として活動していたが、毎年引き継がれてきたルールが保護者らの負担となっていることに気付いた。時間と労力をかけてイベントを実施しても、参加するのはいつも委員だけ。決められた講師謝礼はごく少なく、企画できる内容は限られてしまう。毎年市が主催する研修会に動員をかけられ、委員から何人参加したか報告するよう求められるのもおかしな話だった。

■経験と実績があるから

 そこで、仲間と相談し、活動の見直し案を取りまとめて役員会で提案したが、いくつかははっきりしない理由で却下されてしまった。決定を下したのは会長の横に座っていた、やや年長の女性だった。役員同士の話し合いは一切行われず、その女性が「ここは変えていい」「ここはダメ」と口頭で指示を出した形だ。元委員の母親はこう話す。