コンプラなき時代の伝説映画「柳ケ瀬ブルース」活況の歓楽街や鵜飼…必見岐阜ネタ 2週間限定上映開始

AI要約

 映画「柳ケ瀬ブルース」は、岐阜市の歓楽街・柳ケ瀬を舞台にしたコメディー映画で、1967年の当時の様子がリアルに描かれている。

 作品は、美川憲一のヒット曲をモチーフにしたもので、岐阜の柳ケ瀬を舞台に、当時の情景やファッション、風俗が鮮やかに描かれている。

 ロイヤル劇場で限定上映されており、かつての岐阜を知る人には懐かしく、新鮮な体験となる作品である。

コンプラなき時代の伝説映画「柳ケ瀬ブルース」活況の歓楽街や鵜飼…必見岐阜ネタ 2週間限定上映開始

 岐阜市日ノ出町のロイヤル劇場で6日から2週間限定で上映が始まった映画「柳ケ瀬ブルース」。1967年に公開された日本有数の歓楽街・柳ケ瀬を舞台としたコメディーだが、岐阜市中心部などの当時をほうふつとさせる映像がふんだんに盛り込まれ、記録映画としても価値のある作品だ。昭和世代には懐かしく現代では新鮮に映る、県民目線からの見どころを紹介する。

 「柳ケ瀬ブルース」は歌手美川憲一さんの大ヒット曲をモチーフに東映が製作した、村山新治監督による映画。梅宮辰夫さんがバーテン役で主演、ヒロインは野川由美子さんが務め、大原麗子さんや浦辺粂子さんも出演する。柳ケ瀬を牛耳る大ボス役は伴淳三郎さん。公開時は2本立てで、メインの任侠(にんきょう)映画に対するサブの位置付けだったが、11作品が製作された「夜の歌謡シリーズ」の記念すべき第1作となった。

 映画はヒロインが口ずさむ「柳ケ瀬ブルース」のメロディーで幕を開けるが、いきなり東海道新幹線0系、そして岐阜羽島駅が登場する。これが東京人から見た岐阜の象徴ということか、県民にはおなじみの大野伴睦夫妻の銅像が東京-岐阜間の場面転換を示す際に多用されている。

 ストーリーは、ハンサムで口達者なバーテンがだましだまされながら故郷・岐阜の柳ケ瀬にマンモスバーを開店させ…、というもの。柳ケ瀬の情景描写では、当時の最先端のファッションに身を包んだ若者たちが夜の街を闊歩(かっぽ)し、酒もたばこも何でもありでエネルギーに満ちあふれる。当時を知る人には懐かしいキャバレーの名店なども映し出される。

 柳ケ瀬だけにとどまらず、当時の県庁や岐阜市役所も登場。ぎふ金華山ロープウェーの看板はレトロ感あり、金華山から一望する当時の岐阜市内は今となっては隔世の感に満ちた風景だ。劇中に出てくる「ホテルグランド」は岐阜グランドホテルが元ネタか。同ホテルによるとロケの記録は残っていないが、撮影時にスタッフが宿泊したという。

 長良川鵜飼の映像も。アップで捉えた臨場感ある鵜舟や、芸妓(げいこ)が歓待する華やかな観覧船の様子が長尺で流れ、かなりの見応え。小道具には当時の長良川鵜飼宣伝ポスターも出てくる。同じく伝統の岐阜提灯(ちょうちん)も、物語に厚みを持たせる要素として用いられている。

 そして、表題曲を歌った美川さんも“ご本人登場”。劇中では流しの「美川」役として出演し、生ギターと歌声を披露するほか、予想外の展開もあるので見逃せない。

 ロイヤル劇場を運営する岐阜土地興業の企画本部長で、映画「柳ケ瀬ブルース」のフィルム修復を手がけた磯谷貴彦さん(69)は「伝説と化した、埋もれてしまっていた作品。一世を風靡(ふうび)したかつての柳ケ瀬の姿を多くの人に見てほしい」と話す。DVDなどソフト化はされておらず、今回はスクリーンで見られる貴重な機会。コンプライアンスなき時代の奔放なストーリーもさることながら、多くの岐阜ネタも、隅々まで楽しむことができる。

 ロイヤル劇場では19日まで、一日につき5回上映。7日は午前10時からの1回のみ(午後は完売)。問い合わせは同劇場、電話058(264)7151。