物流担うトラック業界はつらいよ…2024年問題まっただ中、大消費地の台所を支える農業県の苦悩はどうしたら晴れるのか

AI要約

積極的な取り組みで人手不足に対応するための課題が鹿児島で続く。

運送業界の現状と対策について、関係者の声や取り組みが紹介される。

県や業界全体での支援や協力が必要で、将来的な対策が必要とされている。

物流担うトラック業界はつらいよ…2024年問題まっただ中、大消費地の台所を支える農業県の苦悩はどうしたら晴れるのか

〈「託す」2024かごしま知事選より〉

 4月からトラック運転手の残業規制が始まり、人手不足による物流の停滞が懸念される「2024年問題」は、大消費地から遠い鹿児島にとって悩ましい課題となっている。県内事業者も対応を模索するが、燃料や人件費の高騰も重なり費用は増えるばかり。県政の新しいリーダーに、現場からは実態に即した支援を求める声が上がる。

 JA物流かごしま(鹿児島市谷山港2丁目)は、約3年前から24年問題に取り組む。ジャガイモ輸送でのパレット活用や業務内容改正の交渉を進め、23年9月から運賃を順次上げる。フェリーを使うモーダルシフト(輸送手段転換)に加え、今年4月には関東と関西に中継拠点を設けた。

 悩みは尽きない。法改正後、フェリーの乗船枠は取りづらくなった。乗船中は運転手の休息時間と見なされるため予約が殺到した。早稲田一剣幹線事業部長(51)は「燃料価格の高騰でフェリー代も上がる中、増えるコストをどこが吸収するかも問題。公的機関の助成がほしい」と切に願う。

 県は24年度の新規事業で、運送事業者を対象にパレット導入などの経費を半分補助する。ただ運送事業者らが集う3月の会議では「宮崎はフェリー活用で1台最大1万円」など、使い勝手も良い他県の事業と比較する意見も続出した。

 24年問題について野村総合研究所は、このまま対策を講じなければ30年に全国で35%、鹿児島は41%運転手が不足すると予測する。

 県トラック協会の鳥部敏雄会長(67)は「鹿児島は第一次産業が中心。外に運ばないと経済は回らない。運転手の待遇改善や適正な運賃の適用はもちろん、荷積みなどの過剰サービスといった業界の慣習を是正する機会にしたい」と話す。

 協会としても国や県と協力し、価格転嫁の必要性を訴えてきた。法改正により交渉に応じる荷主は増えたが、中小企業庁の調査では、全く転嫁できなかった運送業の割合は2割に上り、全27業種で最下位だった。

 荷主側も試行錯誤を続ける。食品卸業のヤマエ久野鹿児島支店(同市谷山港1丁目)は運送事業者と交渉を重ね、1台あたりの積載量を増やし配送頻度を週3日から2日へ変更。運転手の負担を減らし、価格は据え置く形を選んだ。

 藤崎浩一支店長(51)は「それでも人がいないと商品の仕分けができないため、人件費の上昇は避けられない」と明かす。対策の一つとして「荷主への補助もあれば、鹿児島でも共同配送をするような動きが生まれるのでは。県は支援のバランスも考えてほしい」と提案した。