福島医大と東京電力が重大な被ばく医療で連携強化 協力協定を締結

AI要約

福島医大と東京電力が福島第1原発の廃炉作業員の医療処置迅速化のため連携協力協定を締結

連携強化により被ばく事案での搬送時間短縮が期待される

締結式で医大の竹之下理事長兼学長と東電の小早川社長が協定書に署名

福島医大と東京電力が重大な被ばく医療で連携強化 協力協定を締結

 福島医大と東京電力は4日、福島第1原発の廃炉作業員が重大な被ばくをした際の医療処置の迅速化に向け、連携協力協定を締結した。国の高度被ばく医療支援センターに指定されている医大が、医療介入の判断や搬送の要否を助言する。今後、両者による会議を立ち上げ、対応手順や役割を明確化する。

 連携のイメージは【図】の通り。医大と東電はこれまでも連携してきたが、互いの役割を協定書に明示することで対応の迅速化を図る。会議では医大と原発内救急医療室の医師らが定期的に意見交換し、重大な被ばくをした作業員の健康状況や年齢など共有する情報を事前に決める。

 8月にも溶融核燃料(デブリ)取り出しが始まることなどを踏まえ、不測の事態を想定して連携体制を強化した。

 東電によると、原発事故発生後に作業員が被ばくするなどして福島医大に搬送された事案は少なくとも2件。昨年10月には作業員が多核種除去設備(ALPS)の配管洗浄中に放射性物質を含む廃液を浴び、医大への搬送完了まで12時間を要した。連携強化により、こうした事案での搬送終了までの時間短縮が期待できる。

 締結式は福島市の福島医大で行われ、医大の竹之下誠一理事長兼学長、東電の小早川智明社長が協定書に署名した。竹之下理事長兼学長は「廃炉作業を進める上で作業員の医療対応は必要不可欠。復興・発展を健康と医療の面から支えたい」と述べた。小早川社長は「速やかに高度で専門的な診療と適切な処置を受けられるようになる」と協定締結の意義を語った。