県内、食中毒4倍 3カ月12件、過去10年最多 半数はアニサキス原因 

AI要約

石川県内で食中毒が増加しており、主な原因は寄生虫「アニサキス」によるものである。

アニサキスは魚介類に寄生し、生で食べると激しい腹痛や吐き気などの症状を引き起こす。

消費者は新鮮な魚を選び、内臓を速やかに取り除くことなど予防策を講じることが重要である。

県内、食中毒4倍 3カ月12件、過去10年最多 半数はアニサキス原因 

  ●県「新鮮な魚選んで」  

 今年度に入ってから石川県内で食中毒が多発している。県は2日、小松市の飲食店で寄生虫「アニサキス」による食中毒が発生したと発表。これにより、4月から7月2日までに確認された食中毒は12件に上り、前年同期比4倍、過去10年間では最多となった。12件のうち、魚介類などに寄生するアニサキスが半数を占めており、県の担当者は注意を呼び掛けている。

 県内で4月以降に発生した食中毒の主な原因はアニサキス6件のほか、ウエルシュ菌が2件、病原性大腸菌、フグ毒、ノロウイルスが各1件で、残る1件は特定できなかった。

 石川県によると、食中毒の発生件数は年によってばらつきがあるが、アニサキスによる食中毒は増加している。アニサキスが引き起こす激しい腹痛といった症状が認知され、医療機関を受診するケースが増えていることが件数の上積みにつながっているとみられる。

 県の担当者は、魚介類を冷蔵する設備の機能向上も増加の一因とみている。アニサキスは冷凍で死滅するが、冷凍せずに冷蔵のままでも遠方から新鮮な状態で魚介類を運べるようになったためだ。

  ●小松の飲食店で発生

 県が2日に発表した事例では、小松市の30代男性1人が発症した。男性は6月29日夜に17人の団体で小松市土居原町の飲食店「えんや亭」でアジやカツオ、マグロ、クルマダイなどの刺し身盛りを食べたが、他の16人に症状はなかった。

 1件当たりの患者が少ないのもアニサキスによる食中毒の特徴で、県の担当者は「同じ場所で同じ料理を食べても食中毒になる人とならない人がいる」と話した。

 石川県によると、消費者が取れる予防策は、購入する場合は新鮮な魚を選ぶことや、アニサキスが多く寄生する内臓を速やかに取り除くことが挙げられる。県の担当者は、医療機関でアニサキスを摘出すれば症状は改善しやすくなるとし、「生魚を食べた後に激しい腹痛や吐き気などの症状が出たら、速やかに医療機関を受診してほしい」と求めた。

 ★アニサキス 長さ約2~3センチ、幅約0・5~1ミリの糸状の寄生虫で半透明白色。サバやサンマ、イワシ、イカといった魚介類の内臓などに寄生し、漁獲後に時間がたつと筋肉に移動する。寄生した魚を生で食べると、数時間から十数時間後に激しい腹痛や吐き気などを発症する。