【全文も】広島県の核実験中止要請にロシアが反発 議論の応酬に

AI要約

広島県がロシアの核実験中止を求める要請文を送ったが、ロシアが受け入れず、日本の外交政策を批判。広島県はさらに反論文を送り、議論が続いている。

広島県知事は核実験が国際核軍縮に逆行すると指摘。ロシアはアメリカの核抑止政策を批判し、広島県の要請を拒否。

広島県はロシアに核透明性と核実験禁止を要請。これまでのやりとりは、相互の主張と抗議が繰り返されている。

【全文も】広島県の核実験中止要請にロシアが反発 議論の応酬に

ロシアの核実験の動きに対し、広島県が中止を求める要請文を送ったところ、ロシアが受理を拒否した上で、返書で日本の外交政策などを批判。これに対して、広島県がさらに反論の文書を送り、議論の応酬となっています。

広島県の湯崎英彦知事は4月11日、ロシアが核実験の準備を進めている可能性が高いとの報道を受けて、核実験の中止を求めるプーチン大統領宛ての要請文をロシア大使館に送りました。この中で湯崎知事は、ウクライナ侵攻後に繰り返された、核兵器使用を示唆する一連の発言を改めて批判。「核実験を行った場合、国際社会の核軍縮の取り組みを大きく後退させることにつながりかねない」と指摘しました。

これに対し、ロシア大使館は強く反発する返書を送り、5月16日に広島県が受け取りました。この中でニコライ・ノズドリェフ大使は、「核なき世界を築くと宣言しながら、日本政府はアメリカの核の傘に依存している」と批判。また、湯崎知事に対し「原爆投下国アメリカについて言及する勇気を見いだせない。アメリカがCTBT(包括的核実験禁止条約)の批准を拒否し、NATO(北大西洋条約機構)で“核のミッション”を組織することで事実上NPT(核兵器不拡散条約)体制を弱体化させていることから目を背けている」などと主張。要請文の受理を拒否しました。

これを受けて、広島県は21日、ロシアの主張に反論するプーチン大統領宛ての文書をロシア大使館に送りました。この中で湯崎知事は「どの国に対しても核実験の中止要請や抗議を実施している。直近では、アメリカの臨界前核実験について厳重に抗議した」と強調。ロシアに対し、核兵器開発の透明性が担保されるよう情報公開することや、臨界前核実験を含む一切の核実験を実施しないことを要請しました。

広島県とロシアが直近の3回でやりとりした文書の全文は、以下の通りです。

【2024年4月11日付湯崎知事のプーチン大統領宛て要請文】

貴国がノバヤゼムリヤ島での核実験の準備を進めている可能性が高いとの報道に接しました。

貴国が2022年2月24日にウクライナへの軍事侵攻を開始して以降、幾度も核兵器使用を示唆する発言をしていることに対して、私は強く非難し続けてきました。

貴国の一連の核恫喝によって、いくつかの国において、自国の安全保障上の懸念から、核抑止への依存を強めようとする動きがあることに、私は強い危機感を覚えています。

この非常に厳しい状況において、さらに貴国が核実験を行った場合、他の核兵器保有国に新たな核兵器開発の口実を与え、長年にわたって国際社会が積み上げてきた核軍縮の取組を大きく後退させることにつながりかねず、極めて遺憾です。

ここに、人類最初の原子爆弾による未曾有の惨禍を経験した広島県民を代表して、決して核実験を実施しないことを強く要請します。