臭いだけじゃない、農作物も被害 徳島でもカメムシ大量発生… ホームセンターでは殺虫剤PR

AI要約

カメムシが徳島県内で大量発生し、果樹に被害をもたらしている。

暖冬の影響で越冬した個体が多く、夏にさらなる増加が懸念されている。

農家やホームセンターが警戒し、対策を強化している。

臭いだけじゃない、農作物も被害 徳島でもカメムシ大量発生… ホームセンターでは殺虫剤PR

 果樹全般に被害をもたらすカメムシが、徳島県内で大量に発生している。例年より早い4月中旬から姿を見せ、4、5月に確認された数は過去10年間で最も多かった。暖冬の影響で越冬できた個体が多かったとみられ、夏の産卵期を経てさらなる増加も懸念される。県病害虫防除所は注意報を出して防除などを呼び掛けており、夏に収穫を迎えるモモやナシなどの農家は警戒を強めている。

 発生が目立つのは、ツヤアオカメムシ(体長1・4~1・7センチ)とチャバネアオカメムシ(同1~1・2センチ)。成虫が果実の汁を吸い、実が落ちたり変形したりする被害を及ぼす。触ると強烈な匂いを放つ。県病害虫防除所は4月30日、県内全域に農作物病害虫発生予察注意報を出した。4月の注意報発令は2004年以来20年ぶり。5月1~25日には、調査地点の上板町と勝浦町で平年の6・9~10・8倍の数が確認されている。

 カメムシ類は、夏ごろに産卵し、この年に生まれた成虫が越冬する。県病害虫防除所の調査では、2月に県内11調査地点のうち10地点でチャバネアオカメムシの越冬が確認され、その数は1平方メートル当たり15・7匹で平年(2・6匹)の約6倍に上った。徳島地方気象台によると、徳島市の昨年12月~今年2月の月平均気温は平年を上回り、1月は0・8度、2月は1・7度も高い。このため多くが生き残ったとみられる。

 大量発生を受け、モモやナシなどの産地では対応に神経をとがらせている。板野町川端でモモを栽培する奥尾周二さん(76)は、消毒の回数を増やした。すでに果実を保護する袋をかぶせているが、「気付かないうちに被害を受けていて、十分に育たない実があるかもしれない」と話す。

 鳴門市や松茂町で主に栽培されているナシは、夏の収穫時期が近づき、実が柔らかくなってくると、カメムシが汁を吸いやすくなる。「フルーツガーデンやまがた」(鳴門市)の山形文吾社長(47)は「まだ園内で姿は見られないが、こまめに観察して防除していきたい」と警戒する。

 ホームセンターは、売り場に案内表示をするなどして、カメムシに効果がある殺虫剤をPRしている。DCM徳島西店(徳島市庄町3)では、5月下旬から防除について客の相談が増えているという。

 県病害虫防除所は、カメムシの防除は活動が活発になる夕方から夜にかけての薬剤散布が効果的だとしている。