地方裁判所や最高裁判所の中で一番高収入を得ている役職は誰?

AI要約

裁判官や裁判所職員の給与について解説。

裁判官の収入には判事・判事補の違いがあり、経験年数によって給与が異なる。

裁判所書記官や裁判所事務官の給与は、行政職の俸給表に基づいて算出される。

地方裁判所や最高裁判所の中で一番高収入を得ている役職は誰?

難関試験を突破した者だけがなれる「裁判官」および「裁判所職員」は、高収入というイメージがあるでしょう。

そこで今回は、裁判所勤めの方の中で、一番の高収入を得ている役職は誰なのか、それ以外の裁判所職員はどれくらいの報酬を得ているのかについて解説します。

裁判官のなかでも、最高裁判所長官はとりわけ高収入だといわれています。「裁判官・検察官の報酬俸給表」によると、最高裁判所長官の月額報酬は201万円、最高裁判所判事の月額報酬が146万6000円となっています。

裁判官判事の1号で月給が117万5000円であるため、最高裁判所長官や最高裁判所判事は相当に高いポジションであると分かります。ただし、最高裁判所判事の枠は15人、最高裁判所長官にいたっては1人のみとされていますので、その役職まで登りつめられるのはごくわずかなエリートのみといえるでしょう。

次に、裁判所に勤める職員の収入について解説します。裁判所で勤務する人材は、裁判官だけではありません。裁判をサポートする裁判所書記官や裁判所事務官などさまざまな構成員から裁判所は成り立っています。

■裁判官の収入

裁判官の収入は、判事と判事補によって異なります。判事補とは、任官10年未満の裁判官です。判事補だけでは裁判を行えないため、見習いに近い位置づけの役職といえます。判事・判事補の号俸ごとの給与は、以下の表1の通りです。

表1

※裁判所「裁判官・検察官の報酬俸給表 (令和5年4月1日現在)」をもとに筆者が作成

このように、判事と判事補では給与に大きな開きがあります。基本的に裁判官は経験年数によって号俸が上がるため、真面目に勤務していれば自然と給与が上がるシステムとなっています。

■裁判所書記官の収入

裁判所書記官とは、裁判が円滑に進むよう各方面との打ち合わせや判例の調査を行う役職です。裁判所書記官になるには、裁判所事務官として一定期間勤務した後で裁判所職員総合研修所入所試験に合格して研修を受ける必要があります。

裁判官以外の職員の給与は、行政職の俸給表に基づいて算出されます。人事院が発表した「令和5年国家公務員給与等実態調査報告書」によると、行政職員の平均給与月額は、行政職俸給表(一)で32万2487円、行政職俸給表(二)で28万6942円です。

■裁判所事務官の収入

裁判所事務官とは、裁判所書記官と同様に裁判の進行を支える事務職員です。担当範囲は幅広く、裁判を取り仕切る裁判部門や裁判所の運用に関与する司法行政部門で職務を担います。

裁判所事務官の収入は、裁判所書記官と同様に国家公務員の行政職と同様の給与体制です。

■執行官

地方裁判所には、家財道具の運び出しや差し押さえを行う執行官と呼ばれる役職が存在します。執行官は、国家公務員でありながら給与が歩合制で決まる特殊な職業です。事件当事者が納めた手数料の一部が給与として支払われるため、決まった収入がもらえるわけではありません。

最も高収入なのは、最高裁判所長官で、月額報酬は201万円でした。裁判所には執行官・裁判所書記官・裁判所事務官などさまざまな職員が所属して職務にあたっています。

裁判官は、通常の国家公務員試験と異なる司法試験によって採用が決まります。重い責務が伴う仕事のため、高い収入が見込めます。裁判官の職に就く難易度は高いですが、苦労に合った見返りはあるといえるでしょう。

出典

裁判所 裁判官・検察官の報酬俸給表 (令和5年4月1日現在)

人事院給与局 令和5年国家公務員給与等実態調査報告書

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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