高畑淳子×LiLiCo×にしおかすみこ「母が『頭かち割って死んでやる!』」認知症と介護のリアル

AI要約

映画『お終活 再春! 人生ラプソディ』は晩年を楽しく過ごすことを教える作品であり、介護や認知症にも触れた作品である。

高畑淳子さん、LiLiCoさん、にしおかすみこさんが介護や認知症に関する体験や意見を語り、作品との共通点や違いを示している。

にしおかすみこさんの母の認知症の症状や発見の経緯、介護にまつわるエピソードが明かされている。

高畑淳子×LiLiCo×にしおかすみこ「母が『頭かち割って死んでやる!』」認知症と介護のリアル

 人生の晩年をどう過ごすか。そんなことをちらっとでも考えたことのある人は多いのではないか。

やりたいことにもチャレンジして楽しく過ごすこともできる、ということを教えてくれる映画が、5月31日公開の『お終活 再春! 人生ラプソディ』だ。

 高畑淳子さんが演じる主人公・千賀子は専業主婦。夫・真一を橋爪功さんが演じているが、真一はまさに「典型的な昭和の父」で、妻を褒めたことはないし、むしろ邪険に扱う。ただぶっきらぼうなことばかり言うが、実は心の底には照れくささや愛があるんだろうな、と感じさせられる。2021年に公開されたシリーズ第1弾の『お終活 熟春! 人生、百年時代の過ごし方』は葬儀社を中心に「終活を考えて楽しく生きる」ことを教えてくれる映画だったが、今回は病気や認知症、介護といったキーワードがさらに出てくる。

 主役の千賀子を演じる高畑淳子さん、1作目をお勧めしていたら2作目に出演が決まったというLiLiCoさん、連載が続いている書籍『ポンコツ一家』で認知症の母・ダウン症の姉・酔っぱらいの父との同居について綴っているにしおかすみこさん鼎談第1回は、夫婦や家族について、おさんかたの話をお伝えした。

 本作では橋爪さんが演じる真一が認知症の疑いで要介護度の認定テストを受けるシーンもある。そこで鼎談第2回ではずばり「介護」「認知症」をテーマにお届けする。

 高畑さんはお母さんが現在施設に入所しており、LiLiCoさんは40代で、祖母や母の介護や看取りを経験している。そしてにしおかさんは「ポンコツ一家」に描かれているように認知症の母との同居真っ最中だ。

 高畑「今、芝居をやめて親の介護に実家に帰る人が多い。みんなとは言いませんけど、親の介護で国もとに帰るとか、親の介護があるから芝居はちょっと断念して、ずっとご自身で見てるっていう人は多いんですよ」

 にしおか「『ポンコツ一家』でも、『実はうちも同じです』っていうコメントや手紙をたくさんいただきました。

今回の作品でお父さんがデイサービスに行ったりとか、調査員の方が来たりとかのシーンがあるじゃないですか。うちの母はあそこまでいけていないんですよ。だから、私がやるとしたらああいう感じになるんだなというシミュレーションにもなりました」

 高畑「母は施設にいるんですが、当初私は施設に入るために要介護の認定がいるってことすら知らなかったですね」

 にしおか「私も最初そうでした。実家に帰っていろいろ調べて。地域包括支援センターの方がうちに来てくださったんですよ。でもそこから揉めちゃって、母が『もし誰か来るんだったら頭かち割って死んでやる! 』って言うんで、進まない」

 ちなみににしおかさんが「母の異変」に気づいたのは2020年のコロナ禍。久しぶりに実家に帰ったら、ゴミ屋敷のようになっている実家で母が座椅子にポツンと座っていたという。

 にしおか「2020年に久々に帰った時も、ゴミ屋敷だし、母が突然『頭かち割って死んでやる! 』なんて言うので、びっくりしちゃって。

それまでは1年に1回ぐらい、お正月に帰ることもあったんですけど、帰らないときもあって。このときはまだ認知症だとわかっていなくて、何だろうと。姉も連れて2階に上がるんです。『本当に死んだらどうしよう』と思って、後を追うと、寝てるんですよ。でも30分ぐらいしてまた降りてきて、初めから同じことをやるんですよ。何回も繰り返すからおかしい、というのが認知症を疑ったきっかけでした」