【エルメス】過去と今をつなぐ職人技と創意工夫をミラノで実感【ミラノデザインウィーク】

AI要約

ミラノデザインウィーク2024でのエルメスの新作ホームコレクションの展示が紹介される。

展示ではアーカイブに保管されるヘリテージアイテムと新作家具やオブジェの関連性が強調される。

新作の作品は過去のアイテムからインスパイアを受けており、細部にエルメスらしい技術が光る。

【エルメス】過去と今をつなぐ職人技と創意工夫をミラノで実感【ミラノデザインウィーク】

4月、イタリア・ミラノで開催されたインテリアの祭典「ミラノデザインウィーク2024」。多くのファッションメゾンが、家具やホームアクセサリーコレクションを発表した中、歴史を参考にしながら、現代の物づくりに生かしたエルメスの展示を紹介したい

 エルメスは新作のホームコレクションを発表した。エルメスのアーカイブに保管されるヘリテージアイテムの数々を展示するとともに、それらからヒントを得て、新たにデザインされた家具やオブジェを同列する展示となった。会場に入ると、床にX字を象るようにレンガ、木片、スレート、敷石などを精緻に敷き詰めた大地を彷彿とさせる空間が広がる。フランスの職人たちが1か月かけて制作したという。何世紀もの昔、西洋社会ではこれらで家を建てていたであろうと思うと、ホームコレクションを象徴するエントランスだった。

 印象的だったのは、ホームコレクションと着想の元となったヘリテージピースとの意表をつく関連性だった。新作のランプコレクション「ヴォルティージュ・ドゥ・エルメス」の着想源となったのは、アーカイブに保管された鞭や手綱、障害競技で馬が飛び越えるポールだ。1980年代製の鞭に用いられたレザーの編み込み技法が、細いポールを連想させる支柱に、レザーを巻き付ける技となって新作のランプを生み出した。

【写真】ランプ「ヴォルティージュ・ドゥ・エルメス」。バイカラーのレザーを編み込んだ支柱、真鍮の台座、リネンのランプシェードはレザーで縁取るなど手が込んでいる

制作: Studio Hermès 2024

ヒントとなったのは1980年代の狩猟用鞭。鹿角のフック、シルバーの継ぎ手、マウント部分は編み込みのヴァッシュ・トレッセ

Hermès Conservatoire of Creations

 あるいは、手で槌目を施したシルバーのネックレスからヒントを得て、新作のラウンジチェア「ディアパゾン・ドゥ・エルメス」が生まれた。ネックレスに施された槌目の技を観察して、アルミニウムの家具を作ろう、というデザイナーの発想の飛躍には驚くが、椅子の座面と背面を覆うレザーのたわみ加減に、エルメスらしい皮革加工の技の妙を見ることができる。

【写真】ラウンジチェア「ディアパゾン・ドゥ・エルメス」。槌目仕上げのアルミニウム、座面と背面はライニングのないブライドルレザー。サイズ: H77×W65×L59cm

制作: Studio Hermès 2024

ヒントとなったのは槌目仕上げのシルバーネックレス「ティムール」(2002年)

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