あたらしや「冷やしスタミナうどん」ツルツル麺の秘訣は繰り返し作業にあり 続・うどん共和国

AI要約

埼玉県の鴻巣市、吹上町、川里町が合併し誕生した鴻巣市にある、地元で親しまれる老舗うどん店「あたらしや」。4代目の善吉さんが新商品開発に熱心で、季節限定メニュー「冷やしスタミナうどん」を考案した。

善吉さんは、地元産の小麦粉を丁寧にこねて手作りするうどんの歯応えにこだわり、ツルツルとした食感を生み出している。

さらに「冷やしスタミナうどん」は、肉の温かみと冷たい汁、卵の甘味が絶妙にマッチした人気メニューであり、店内には他にも充実した定食類が揃っている。

あたらしや「冷やしスタミナうどん」ツルツル麺の秘訣は繰り返し作業にあり 続・うどん共和国

埼玉県の鴻巣市、吹上町、川里町が平成17年に合併し誕生した鴻巣市。旧吹上地区で昭和32年から営業し「吹上といえば、あたらしや」と地元の人に親しまれてきた。

名字であり屋号でもある「あたらし」のように、新しいメニューの開発に熱心。メーカー勤務を経て令和元年から、父親の新保(あたらし・たもつ)さん(74)と一緒に家業を切り盛りする4代目で店長の善吉さん(43)。新商品開発に意欲的で季節限定メニュー「冷やしスタミナうどん」(1180円)も善吉さんが考案した1つ。

これを注文。丼ぶりからうどんを一気にすすった。やや細めの麺は、つるつるした感触があった。

「県内産の小麦粉をいくつか自家ブレンドして、この歯応えになるようにしています。地産地消にこだわりたい」と善吉さん。うどんをこねた後に踏んで、さらに寝かす。この作業を複数回繰り返す丁寧な仕事が、ツルツルした感触が出せる秘訣のようだ。

汁には氷が入っていて、肉の温かみで全体が温かくなるのを防ぎ、ひんやりとしたうどんの味わいと汁の冷たさを保つ。上に乗った卵の黄身を割ると、肉の甘味とからみ味わいが増す。

このメニューの誕生のきっかけは、同店で人気のスタミナ定食(830円)の肉だった。

「この肉の味がうどんの汁と、ものすごくマッチするなと。もともと冷や汁うどんはあったのですが、肉を何とかいかした夏のうどんができないかと思ったのが始まりです」

冬の限定メニューでは、味噌煮込みうどん(1280円)が人気。今春には、吹上地区に流れる荒川の河川敷に咲く名物のサクラをイメージし桜の香りと色合いをつけた「さくらうどん」(890円)を開発。「香りが爽やか」と来店者に好評だったという。

うどんのほかにも、定食類が充実していて、自家製もつ煮定食(760円)、みぞれとんかつ竜田揚げ定食(780円)といずれも手ごろな価格で、昼時には会社員でにぎわう。

あたらしやは酒店も経営している。吹上地区にあるコウノトリ野生復帰センター「天空の里」にちなんだ「天空の里 こうのとり」という日本酒を販売している。純米酒(720ミリリットル、1540円)と発泡純米酒(300ミリリットル、930円)。保さんは「まもなく新酒が出ます」と笑顔をみせ挑戦には余念がない。(昌林龍一)