「うつ病予防」にはウォーキングやジョギングが効果的? 有酸素運動とうつ病の関係について解説
運動はうつ病予防に効果的であり、ストレス緩和や幸福感の向上、睡眠の質改善など多くの効果がある。
有酸素運動や筋力トレーニング、ヨガ、太極拳などの運動が効果的で、グループでの取り組みや簡単な日常的な活動も重要。
楽しく効果的な運動を続けることで、自信や社会的つながりを促し、うつ病予防に効果的な生活習慣を構築することができる。
「身体を動かすと気持ちいい」と感じたことがある方は多いと思います。実際、運動をすることはうつ病予防に効果的であるという研究報告が多くあります。しかし、一口に運動といってもウォーキングなどの軽いものからハードなものまで様々です。そこで今回は、運動の効果やオススメする運動の種類、取り組み方について、精神科医の種市摂子先生に詳しく解説して頂きました。
[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
編集部:
うつ病は予防できる病気ですか?
種市先生:
はい。うつ病は健康的な生活習慣の獲得と適切な予防方法を知ることで、多くの場合で予防することができる病気です。
編集部:
健康的な生活習慣とは、「運動をおこなうと良い」ということでしょうか?
種市先生:
そうですね。運動はうつ病の予防に役立ちます。それだけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、脳卒中や心臓疾患、呼吸器や消化器系の病気など、多くの病気の予防にも効果があります。
編集部:
なぜ運動がうつ病予防に効果的なのでしょう?
種市先生:
運動がうつ病予防に効果的である理由はいくつかあります。運動はストレスの緩和に有効とされており、リラックスする感覚を生み出します。まず、運動はストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げ、幸福感を高める化学物質であるエンドルフィンのレベルを上げることが知られています。この化学変化によって、気分が改善し、不安やストレスが軽減されます。
編集部:
ほかにはどのような効果があれば教えてください。
種市先生:
運動は睡眠の質を向上させることができます。うつ病患者さんの多くは睡眠障害を抱えていますが、定期的な運動は深い眠りを促し、睡眠サイクルを正常化させることができます。良好な睡眠は、心の健康にとって極めて重要です。
編集部:
運動することで具体的にどのような効果が期待できますか?
種市先生:
運動によって体内に「幸せホルモン」と呼ばれるエンドルフィンが放出されます。これは鎮痛剤のような働きをして、気分を高揚させる効果があります。同時に、ストレスに関係するホルモンであるコルチゾールやアドレナリンの放出が減少し、ストレスや不安が和らぐことで、うつ病の症状が軽減されるとされています。また、運動を通じて達成感を得ることで、自信や自己効力感が向上することも期待できます。さらに、グループでの運動は社会的なつながりを促し、孤立感を減らすことに役立ちます。
編集部:
どのような種類の運動が効果的ですか?
種市先生:
まず、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、ダンスなどの有酸素運動が挙げられます。これらの運動は心拍数を上げ、体内の幸せホルモン(エンドルフィン)を放出し、気分を高める効果が期待されます。また、筋力トレーニングも効果的で、目標を達成することで自信がつくこともあります。さらに、ヨガや太極拳などの運動は、リラクゼーションやマインドフルネスを組み合わせ、ストレスの軽減や気分の改善に効果的です。
編集部:
うつ病予防のための運動として、より効果的にするためのアドバイスはありますか?
種市先生:
どのような運動においても、複数人のグループでおこなうことで、社会的なつながりを作り、孤立感の軽減やモチベーションの維持に役立ちます。また、日常的な活動を増やすことも重要で、階段を使う、短い距離は歩く、作業の合間や休憩中に簡単なストレッチや歩行を取り入れるなどの、取り組みやすいことから始めることもオススメです。楽しかったり、何らかの効果を実感出来たりする運動をおこなうと継続しやすく、より効果的です。