慶應大卒・許豊凡(INI)が芸能界に挑んだ理由 「就職か、大学院か? 迷うほど、夢をあきらめきれないと気づいた」

AI要約

許豊凡さんは中国出身で、日本語が話せないまま慶応義塾大学に入学した経緯が紹介されています。

日本の留学生招致政策「グローバル30」に惹かれ、日本での大学生活を送ることを決めた許豊凡さんの苦労や孤独な経験が描かれています。

ダンスが許豊凡さんの孤独な大学生活を変えてくれたエピソードが紹介されています。

慶應大卒・許豊凡(INI)が芸能界に挑んだ理由 「就職か、大学院か? 迷うほど、夢をあきらめきれないと気づいた」

 2021年にデビューしたグローバルボーイズグループINI(アイ・エヌ・アイ)。過酷なオーディションを勝ち抜いた許豊凡さんは当時、慶應義塾大学に通う大学生だった。“想定外”の連続だった大学時代について聞きました。発売中のアエラムック「就職力で選ぶ大学2025」(朝日新聞出版)より紹介します。

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「大学生になるまで、日本語はひと言も話せませんでした」

 少し申し訳なさそうに話す許豊凡(以下、フェンファン)さんだが、日本語は驚くほど流暢で、尊敬語と謙譲語を完璧に使い分ける。ファンクラブ会員限定のブログでは、美しい日本語で近況をエッセー風につづる。メンバーの髙塚大夢さんは「日本人以上に日本語がうまい。フェンファンのブログは小説のよう」と評する。英語、韓国語、中国語、日本語の4カ国語を操る知性派だ。

 中国浙江省に生まれ育った。高校は、クラスメートの多くが海外留学する進学校だ。行き先はアメリカやイギリスが多かった。

「でもぼくは日本に興味がありました。日本の文化、特に建築やアートが魅力的だなと思っていて、その環境で暮らしたい、と。日本はアジア文化圏ですが、西洋文化の影響も強いですよね。中国では触れてこなかったミックスカルチャーにあこがれました。日本のアニメももちろん大好きでしたけど(笑)」

 日本語が使えなくても日本の大学で学べるのか。調べると日本には「グローバル30」(当時)という制度があると知った。文部科学省が推進する留学生の招致政策だった。

「これだ!と思いました。入学試験だけでなく、授業も4年間すべて英語で受けられて、学位も取得できると知って『ぼくのための制度なんじゃないか』と(笑)」

■孤独な大学生活をダンスが変えてくれた

 グローバル30に選定されている大学の中から、慶應義塾大学経済学部を受験することに決めた。英語での授業数が多く、知名度があり、そして「東京に住んでみたかった」ことも理由の一つだった。英語での小論文、TOEFLのスコア、SAT(アメリカの学力テスト)の成績などを提出し、合格を勝ち取った。

 16年秋、フェンファンさんは初めて日本にやってきた。しかし、大学生活の始まりは孤独だった。