大阪万博の目玉に「火星の石」急浮上? 期待寄せる吉村知事、でも開幕前から見られるで

AI要約

大阪城再建に使われなかった「残念石」や「火星の石」の話題が大阪・関西万博で取り上げられる。

「火星の石」は2000年に南極で採取され、重さ13キロの隕石で初の一般公開となる。

万博の建設費が膨らみ、追加費用が発生している中で、「火星の石」の展示は賛否両論を呼んでいる。

大阪万博の目玉に「火星の石」急浮上? 期待寄せる吉村知事、でも開幕前から見られるで

 大阪城再建に使われなかった「残念石」をトイレに活用したり、休憩所の頭上に巨石をぶら下げたり、1970年の大阪万博の目玉だった「月の石」を再展示しようとしたり。来年4月開幕の大阪・関西万博は何かと「石」の話題に事欠かない。今度は火星由来の隕石「火星の石」が万博の目玉に急浮上だ。

 展示予定の「火星の石」は、日本の南極観測隊が2000年11月に昭和基地近くで採取したもの。幅29センチ、高さ16センチのラグビーボールほどの大きさで、重さは約13キロ。現在は国立極地研究所で保管されており、一般公開は万博が初という。

 大阪府の吉村知事は「火星の石」の展示について、「人類が火星に到達する夢・技術・可能性と一緒に展示してくれたらうれしい」などと期待を寄せたが、そんな悠長に構えている場合か。

 石にかじりついても廃棄物の最終処分場の夢洲で万博を強行したい固い意思がアダとなり、追加負担が新たに発生。すでに建設費は2回も上振れし、当初から約2倍の2350億円に膨らんでいる。吉村自身が「コスト管理を徹底する。3度目はない」と断言していたにもかかわらず、地中から湧き出るメタンガス対策や海外パビリオンの空き区画の転用などに80億~90億円の追加費用が生じる見通しだ。

 ただでさえグダグダなのに、そこへ降って湧いたのが「火星の石」。希少性が極めて高いとはいえ、2000億円もの巨額費用を湯水のごとく使ったイベントの目玉のひとつが20年以上前に見つかった「石」とは、よほど出し物に困っているのか。ストーンと腑に落ちない。

 ちなみに、「火星の石」は万博を待たずとも見物可能だ。東京の国立科学博物館が地球館の地下3階に「ナクラ隕石」の展示を常設している。約6センチと小ぶりだが、バーチャル展示「かはくVR」を使えば、家にいながらにして無料で見ることができる。

 さらに、大阪市立科学館には「ザガミ隕石」が展示されている。こちらは縦横1センチ、厚み2ミリ。「回収当時は総量は約18キロでしたが、小さい破片になって普及している」(学芸員)とのこと。展示場への入場料は大人400円だから、万博の会期中チケット(大人7500円)よりも財布に優しい。

 今度は何の「石」が出てくるだろうか。

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 大阪・関西万博について危機感をあらわにする建築家の山本理顕氏。約4時間に及んだ講演・議論の内容は、●関連記事『【もっと読む】「建築界のノーベル賞」受賞の権威が大阪万博をバッサリ!“350億円リング”「犯罪だと思う」』で詳報している。