マザー・テレサもスティーブ・ジョブズも実は「サイコパス」って本当…? 人口の1%しかいない“反社会的人格者”の知られざる正体

AI要約

人間の心のダークサイドについて、進化心理学の観点から解説。サイコパスの特徴や影響について紹介。

進化の過程で淘汰されなかったネガティブな性質が現在も人間を苦しめる。サイコパスの存在や特徴が1%の人口に見られる。

サイコパスとの関わりを通じて、冷酷さや欠如した良心との付き合いについて具体例を挙げながら解説。

マザー・テレサもスティーブ・ジョブズも実は「サイコパス」って本当…? 人口の1%しかいない“反社会的人格者”の知られざる正体

 人間は、身体だけでなく、「心」も長い年月をかけて進化を遂げてきた。しかし、「うつ」や「陰謀論」など、人間の心のネガティブな性質は、進化の過程で淘汰されることなく、今現在も私たちを苦しめている。人間の“心のダークサイド”はどのように私たちに影響を及ぼしているのだろうか?

 ここでは、生物学研究者の小松正氏が、進化心理学の観点から人間の“心のダークサイド”について綴った『 なぜヒトは心を病むようになったのか? 』(文春新書)より一部を抜粋。近年注目を集めるようになった「サイコパス」とは、どのような人を指す言葉なのだろうか?(全2回の1回目/ 2回目 に続く)

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 日頃は好人物のように見えても、いざというときに冷酷な本性が現れる。場合によっては法を犯すことも厭わない。その被害をこうむる立場からすれば、非常に恐ろしい存在でしょう。近年、こうした反社会的人格の持ち主はサイコパスと呼ばれ、注目を集めています。

 よく知られているサイコパスの特徴は冷酷であること、良心・共感性・罪悪感が欠如していることです。サイコパスは人口の1%程度存在していると言われており、サイコパスまたはそうした傾向のある人物と関わった経験を持つ人は少なくないと思われます。

 私自身もかつて、サイコパス傾向の強い人物と関わったことがありました。私がアドバイザーを務めていた環境系市民団体のスタッフだったA氏は社交的で話も面白く、一見魅力的に見える人物でした。

 しかし、A氏をリーダーとしたチームでシンポジウムを企画したものの、開催中止となるトラブルがありました。A氏の自分勝手な言動によりチームが崩壊したためです。ほどなくして遠方に転居予定であったA氏は、実情を知る人たちと関係を断ち切り、経費などの金銭面の負担や関係各位への謝罪などの対応をすべて他のスタッフに押し付け、知らぬ存ぜぬを決め込むという開き直った行動に出ました。